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星屑まみれのアリス

珍しく真ちゃんから電話がかかってきたと思えば、我が妹ちゃんの通う高校の文化祭に行きたいから一緒に行こうとのお誘いだった。どこで手にいれたのかきちんと招待券を持っていて、オレも妹ちゃんの文化祭には行きたいけどこの年で親とうろうろするのもどうかと思っていたからその誘いに乗ることにした。

「思っていたより人が多いな」
「ま、ここら辺では有名な私立校だしねー。OGとかOBは元担任に頼めば招待券もらえるみたいだし?あと地元の人も学校からもらえるとか聞いたな」
「……相変わらずの情報通なのだよ」
「全部妹ちゃんから聞いた話だっつーの」

真ちゃんの招待券は知り合いの女子高生からもらったらしい。真ちゃんってばまさかのロリコン?年上好きじゃなかったっけ?言葉には出さなかったが完全に伝わったらしい。冷たく睨まれた。

「どこから行くんだ?」
「そうだなー、まずは「あ、緑間さん!」ん…?」

女の子の声が聞こえた。嬉しそうな、弾んだような声。もしかして真ちゃんに招待券を渡した女子高生だろうか。むくむくと沸き上がる好奇心を抑えられず、オレは真ちゃんの影からひょっこり顔を出した。

「こんにちは、緑間さん。わざわざ来てくださってありがとうございます」
「絶対来いと言ったのはお前だろう」

ぺこり、女の子が頭を下げる。男でも羨ましくなるようなさらっさらの黒髪が肩から滑り落ちた。
一言で言うと育ちのいいお嬢様という印象だ。肌は白いし華奢な体つきをしているし、顔だってめちゃくちゃかわいい。見慣れた妹と同じ制服もこの子が着ているとまた違った印象を抱いた。この制服はこの子のために作られたのではないかと思うような、そんな感覚。こんな品のいいお人形みたいな子が真ちゃんとどういう関係なんだろう。勤め先の病院の上司の娘さんとか?
聞きたいことがたくさん出てきたけれどそれより先に意識が向いたのは、黒髪美少女の向こうから駆けてきた見覚えのありすぎる女子の姿だった。

「みやびー!いきなり走り出すから何事かと思ったら…って、え!兄貴!?」
「兄貴じゃなくて、お兄ちゃんだろ」

ホント口悪いんだから……。そう思いつつも妹の口から飛び出したみやびという単語が気にかかる。たしか妹が毎日のように口にする友達の名前じゃなかっただろうか。家事やら何やらを頑張ってるけどどうしても料理ができなくてよく弁当のおかずを分けてやっているのだとかいう、あの。

「まあちょうどよかった。みやび、これがうちの兄貴ね」
「はじめまして、赤司みやびです。高尾さんにはいつもお世話になってます」
「お……おう、こちらこそ……」

礼儀正しく挨拶をする彼女にこちらもつられて頭を下げる。ていうか今、聞き間違いでなければこの子は赤司と名乗らなかっただろうか。赤司と言われると赤い髪のアイツを思い出す。真ちゃんの知り合いってことは赤司と関係あるのだろう。あんまり似てないけど赤司の妹とか……?

「みやびは誰を呼んだのかなーと思ったら緑間さんだったんだね。お久しぶりでっす!」
「相変わらず元気そうで何よりなのだよ」
「緑間さんは相変わらずお堅そうな顔してますねー」
「なんだt「まあまあ真ちゃん!お腹すかね?とりあえず何か食おうぜー」

真ちゃんの気に触るようなことを普通に口にするなんてさすがオレの妹だ。真ちゃんが怒り出す前に会話を切り、二人のクラスの出し物に顔を出す約束をしてから別れた。

「なー真ちゃん?あの子赤司って言ってたけど」
「それが何なのだよ」
「赤司の妹かな?と思ったけどそれにしては似てないしさー。赤司とどういう関係なの?従兄妹?」

突然歩みを止めた真ちゃんを振り返る。地面に視線を落としていた真ちゃんは何かを迷うようにゆっくり顔を上げた。

「……アイツは赤司の、」

真ちゃんの口が信じられない言葉を繋ぐ。ぽかーんとするオレの目をまっすぐ見つめる真ちゃんが嘘を言っているようには見えなくて。
赤司とあの子の、およそ世間一般ではあり得ない関係にオレが絶叫するまであと少し。

title/サンタナインの街角で