タイトル : 未定
道端の小石をすべて取り除くことは本当にあの子のためになるのか?
嵐山の忠告は聞こえないフリをして、俺は今日もなまえの耳元で最善の未来を囁く。なまえ、今日は数学で難しい問題に当たるかも。嵐山に解き方を教えてもらった方がいいんじゃない?あ、それから帰りは一緒に帰ろうね。うん?珍しいって?そうかなあ。なまえがぼーっとしてるから心配なんだよ。あはは、うそうそ。ごめんって。
「迅、おまえいい加減に」
ずっと文句を言いたげだった嵐山がとうとう声を荒げた。そんな嵐山に返事をする代わりに、にっこりと微笑みかける。
なまえが歩む道から小石を退かすことを嵐山は良しとしないけど、おまえだってこのサイドエフェクトがあったら俺と同じことをするだろう?大切な副くんと佐補ちゃんが躓かないようにって、あの子たちが歩く道を綺麗に舗装するだろう?
「嵐山くんどうしたの?」
珍しく声を荒げた嵐山になまえが不思議そうな顔をした。嵐山は一瞬怯んだように顔を歪めたけど、何でもないとぎこちない笑みを浮かべる。
そうだよなまえ、何でもないよ。
なまえのためにならないものは俺が全部取り除いてあげるから、おまえは何も心配せずに笑っていればいいんだ。
***
しんどいサイドエフェクトを持っているのにいつも飄々としている迅さんに想いを馳せてたら急にシリアスな話が書きたくなりました。大事な幼馴染のために未来視のサイドエフェクトをフル活用する過保護な迅さん。時間軸的に第一次大規模侵攻が起こる直前〜侵攻後の話なので捏造甚だしいです。