「――…いちょ……隊長、朝ですよ?起きて下さい…」

ひんやりと乾いた空気に包まれる室内に敷かれた布団にはこんもりと小さな山が一つ。
早朝から開かれる隊首会へと出席させるべく朝に弱い隊長を起こしに来た吉良は布団の傍に膝を付き其の山をユサユサと揺らします。

…しかし起きる気配は全く無し。

「…隊長、今日は会議なんです…起きて下さいっ」

なかなか起きない隊長に小さく溜め息を吐くと布団を引っ剥がそうと試みます…………が、どんなに真剣に引っ張ってもビクともしない掛け布団。

ガッチリと握られた其れに最早狸寝入りならぬ狐寝入り状態だ、と肩を落とせば黙り通しだった布団の山から眠たげな声が一つ。











「――……イヅルがキスしてくれたらボク起きてもエエよ?」



………。



「…Σな、に言ってんですかっ!!」

「早よ起こさな隊首会始まってまうよ?」

謂うや否やニンマリとした悪戯な笑みを浮かべた顔が布団から現れ早く早くと急かすように吉良を見上げた。
接吻を受ける事はあってもした事のない吉良は羞恥から顔を真っ赤に染め何とか流そうとするも時間ばかりが過ぎ一向に布団から出ない市丸にとうとう諦め小さく息を吐いた。

「――…今日だけ、ですからね?」






キスミーキスミー
その日の隊首会にはいつになく上機嫌な三番隊隊長様と真っ赤な顔をする副官が見られたそうです。
(王子はお姫様のキスで目覚めるんやで)(いやいや其れ逆ですから)



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たまにはこんなのもいいな、とか思う今日このごろ。



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