「ボク一人やとあかんのよ」

「せやから、ずっと」

「イヅルは一緒に居ってな」


ぎゅうって効果音が似合いそうなくらい。息が詰まって骨が軋みそうなくらい。力一杯抱き締められて、まるで愛を知らない子供みたいに縋りつく僕の愛しい人。
大丈夫です、大丈夫、僕は、僕だけは、例え世界中が貴方の敵になったって、貴方がいやだと言ったって、貴方の傍で貴方を愛し続けるから。
抱き締められた腕の中照れくさく笑いながら見上げてみれば今にも壊れそうな泣きだしそうな其れは酷く嬉しそうな笑みを浮かべてまたぎゅうって僕を抱き締めた。


そう、僕はずっとずっと彼の傍に居るって約束したんだ。


「おい吉良、お前一体何処に…」

「市丸隊長を捜しに行かなきゃ」

「…ッ…何謂って…」

「だって僕は隊長と約束したんだ」


何時だって傍に居るって言ったのに、離れないって約束したのに、あああああきっと今だって僕が居ない世界できっと一人で泣いてるに違いないんだ。みんな彼を怖い恐いって言うけれど本当はとても寂しがり屋で泣き虫で、唯ちょっと甘え方を知らない大きな子供なんだ。


「吉良…いい加減に目ェ覚ませ!」

「何謂ってるんだい?僕の目はちゃんと覚めて―――」

「アイツはお前を…俺達を裏切ったんだ!!」


一刻も早く彼を捜しに行きたいのに、僕の腕を掴んで離さない阿散井君のせいで無駄な時間が流れていく。
離してよ、早くしなくちゃはやくしなくちゃ駄目になっちゃう壊れちゃう邪魔なんてしないでよ。
目を覚まさなきゃいけないのはみんなの方だ、市丸隊長が彼が僕を裏切る訳がないじゃあないか。そうだ、そんな訳がない。毎日毎晩飽きもせず周りがうんざりするくらい愛を囁き合って僕等は僕等無しには生きれないくらいお互いが必要なのに僕を置いて行く筈がない。
きっとあれはそう、きっと。
何時もの彼の悪戯なんだ。
本当は僕を騙そうと嘘を演じていただけでそこら辺に隠れて僕の反応を伺ってるんでしょう?
もういいですよ、僕が騙される訳ないじゃないか。だって彼が僕を裏切るなんて冗談でも有り得ないんだから。

さぁ、早く出て来て、イヅル、イヅルってまたうんざりするくらいその色っぽい声で僕の名前を呼んで、!





「市丸隊長市丸隊長市丸隊長市丸隊長市丸隊長、愛してます愛してます愛してます愛してます愛してる愛してる愛してるんです、ぎ、ん、ギン!…ギン」





( だから、はやくでておいで?いたずらのおしおきなんてしないから、いますぐあなたにだきついてやさしくかみをなでてほっぺにちゅうなんかして、ぼくがどれだけあなたをあいしているのか いやってほどにつたえてあげるから、だからはやく はやく はやく )




貴方の名をつぶやく

浅はかな合図さえ

いまはもう 届かない の ?








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