「――…なぁ、イヅル…ボクん事好きやろ」
静かな室内、ぽつりと漏れた言葉はやけに大きく聞こえ僕の心臓は小さく跳ねた。
「ええ加減素直んなったらどぉやの?…好き…なんやろ?」
射抜くような深紅はまるで僕の心を見透かすようで視線を逸らせば追い討ちと言わんばかりに囁かれた甘く響く低音が、僕の思考に催眠をかける。
「……なぁ、イヅル…」
嗚呼どうか、そんな声で僕を呼ばないで下さい。
「好きや、言うてや…」
どうか、そんな甘えた表情は止めて下さい。
「……ボクはこないにイヅルん事――」
それ以上、聞きたくない。
「―――………自惚れも大概にして下さい」
どうか、聞かせないで下さい。言わないで下さい。この感情はきっと憧れなんだと言い聞かせてきたんです。貴方の背を追えるだけでいいのだと。だからその感情の名前を教えないで下さい。僕が僕で居られなくなる。貴方への想いを止められなくなる。
だからどうか、
だからどうか、
だからどうか…――
……僕を嫌いに……なって下さい。
…………。
「――……あの…………乱菊さん、僕の思考を捏造しないでもらえませんか?」
「何よ、別に減るモンじゃないんだからいいでしょ〜」
「いや、減ります。気持ち的何かが確実に減ります」
「イヅルそないカリカリせんと…エエやん別に、乱菊はボクらの仲の良さに妬いとるだけなんやから」
「よくありません、仲も何も…市丸隊長と僕は"三番隊隊長と副隊長"ではありますがそれ以上の関係はありません。そもそも僕は市丸隊長を捜しに来ただけで……」
「…せやったら何でイヅル…顔赤ぉしとるん?」
「……ッ!…こ、これはっ…隊長を捜して走り回ったからで…」
「ふーん…まぁそういう事にしといたるわぁ」
「しとく、ではなく事実でッ……」
「――………あー、萌えだわコレ(傍観w)」
「………おい、松本…アイツらどーにかしてこい」
「何言ってんですか隊長、こんなの生で見れるなんて滅多にないんですよ?嗚呼、ついでにこのままそこであんな事やらこんな事までヤってけばいいのに…(はふり←)」
「――……ちょ、市丸隊長ッ…近いですってばッ!」
「エエやん、人の視線ある方がイヅルかて燃えるやろ?」
「………………」
「――……松本……」
「今すぐアイツらをウチの敷地内から摘み出してこいッ!!!(怒)」
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とある日の十番隊執務室(笑)
ギンはサボってよく乱菊姉さんトコに来ます、でイヅルはそれを捜しによく十番隊隊舎に来ます。あと、この話的には乱菊姉さんは腐女子です(爆)
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