「――……市丸隊長、あの…邪魔なんですが…」
柔らかい陽射しの差し込む心地良い畳の室内に、ぽつり漏れた声は静かに響いた。
日々激務に追われる三番隊の、しかも副隊長という地位に就いて以来仕事に身を投じる日々が続き、漸く訪れた久方ぶりの非番の日だというのにも関わらず、ただでさえ狭い部屋には早朝から何故か隊長が居り更に部屋を狭くしている。
忙しい日々の中溜まった衣類などの洗濯をしたいのにその空間を取る事さえ一苦労な程。
邪魔です、と言い腕いっぱいに洗濯物を抱えたまま床にダラリと転がる大きな体をちょんと足蹴にでもしてやれば、其れはころころと狭い部屋を端から端へと転がっていく。
こんなのが三番隊の隊長なのかと思うとイヅルはふと溜め息が漏れた。
確かに戦闘に出ると強いし、頼り甲斐もある。イヅル自身そんな相手だからこそ、憧れ尊敬し付き従っているのだ………がしかし、それは仕事上の顔。
一度イヅルとふたりっきりにでもなろうものならばそんな凛々しい姿は一瞬にして消え去り、ただの甘えん坊な大きい子供へと変貌するのだ。
「なぁイヅルぅー、えっちせェへん?」
……いや、ただのエロガキだ。
「無理です。洗濯物溜まってるんで」
「洗濯終わったら、エエの?」
「駄目ですよ、他にもする事は山積みなんですから」
軽くあしらうような返事に、我が隊の長たる銀色は不機嫌そうにぶうっと頬を膨らませた。
忙しそうに狭い部屋を動きまわるイヅルの足を舐めるようにギンの手が撫でる。エエやんかァ〜等と子供のように駄々を捏ねるギンを大人しくしていて下さいと言い宥めながら、足で牽制する。
そんな攻防戦が幾度か繰り返された。
「いい加減に…!」
「あ…」
何度目かの牽制、ふとバランスを崩したイヅルの足は袴を滑り偶然且つ見事にギンの股間に入ってしまった。
「い、イヅル…それあかんッ…」
足の当たったところはすでに硬くなっており、ギンの頬は高揚して、上目遣いでイヅルの方を見やる。
かわいいなぁ…そう思ってしまったら最後、無意識なのか故意なのか足はそのまま勝手にギンのものを撫でるよう動きだしていた。畳に後ろ手を突きながら、丹念に足の裏で撫でられる感覚に身を震わせるギン。
「…イヅル…」
「これ、気持ちいいんですか?」
「ふっ…」
「市丸隊長って本当にえっちなんですね…こんな事で感じるだなんて…」
「イヅルがそないえっちな触り方するからやんっ」
「隊長がしたいって言ったんですよ?前、苦しいなら、ご自分で解いて下さい…」
そう言うとギンは待ちきれないと言わんばかりに素直に腰紐を解き褌を緩め袴ごと其れを尻までずり降ろした。既に完全に天井を向いているギンのものを見てイヅルはくすりと小さな笑みを漏らした。
「足だけでイけそうですね」
再びそっとそこに足を当てると器用に指で挟んで撫で上げ、水たまりをつくる鈴音を親指で割入るように刺激する。
「くっ、イヅルぅ…痛いわァ…っ」
「痛いのに感じるだなんて…隊長ってどMなんですね、隊長のせいで僕の足ベタベタですよ?」
普段とはまるで真逆の立場に意地悪く声を掛けてながら付け根の部分をぐりぐりと踵で強く踏んでやるとギンは呆気なく欲望を吐き出した。
浅く繰り返される呼吸。
鎮まる事を知らない欲望。
床に飛び散った白濁を見て、はっと我に返るもマズいと思った時には既に手遅れで。
欲望を吐き出したばかりのそれは再び熱を持ち、その感情を耐える訳などないギンは目の前のイヅルの足首を掴み、先ほど畳んだ洗濯物の上にイヅルを押し倒した。
「ちょ、ちょっ待っ…洗濯物が…っ」
「煽ったんはイヅルなんやから、待てる訳あらんやろ?」
ギンが勢いよく覆い被さって来ると揺れた洗濯物から太陽の香りがした。
(嗚呼、また洗濯し直さなきゃ…)
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