「なぁイヅルぅー…」
ある陽射し心地良い昼下がり。
縁側に腰かけた市丸は隣で読書をする吉良に声を掛けた………が。
(……構ってくれへんし…)
余程本の世界にのめり込んでいるのかピクリとも反応を示さぬ吉良にわざとらしく唇を尖らせるも視線さえ向けていない状態な為にそれも虚しい行為で終わった。
今日は三番隊には珍しい非番。
何処かへ出掛けるよりも二人で部屋に籠もりいちゃいちゃしたいと考えた市丸は朝早くから吉良の部屋へと足を運んだ。
しかし、吉良は朝からこの状態。
何やら五番隊隊長から借りた書物らしく、時間がなくあまり読む機会もなかった為に今日中に読み切り返したい…らしいのだが…。
(……つまらへん……)
久々の同日休みに構ってもらえないとなれば普段から人一倍嫉妬深く甘えん坊、且つ子供地味だ思考の持ち主である市丸が機嫌を損ねない筈がない。
(…ボクよりそないな紙の束ばっか構いよって……もう大っ嫌いや………………藍染はんなんてッ)
苛々とし、ぼやいてみるも愛しい吉良を思考内でさえ嫌いと言えず書物を貸した藍染へと矛先を変える市丸。
そんな市丸を知ってか知らずか本から顔を上げない吉良。
と、突然膝に感じたズッシリとする重みに書物へと意識を集中させていた吉良は小さくビクッと体を跳ねさせた。
「―――…………隊長、何なさってるんですか…?」
僅かに本を持ち上げその下にある己の膝を見ればサラサラした銀髪と心地良さそうな狐顔…。
「…ん、何って膝枕やけど?」
「…邪魔です、避けて下さい」
「厭や」
「厭やって……………――」
まるで子供のように腹部に顔を埋め駄々をこねる市丸に吉良は一つ溜め息を吐くも、"避けろ"という言葉に不服げに頬を膨らせ心底嫌そうな反応を示した相手にふと朝からの自分の態度を思い出した。
(……嗚呼、僕何やってるんだろう)
未だ嫌々と腹部に顔を押し当て駄々をこねる市丸に愛らしさを感じ小さく笑みを浮かべた吉良は本をそっと閉じ脇に置いた。
「――…隊長、避けて下さい」
「厭や謂うてるやん…」
「厭々って………このままじゃ僕、隊長に抱き付く事も出来ないんですが…」
出来るだけ優しくかけた言葉。
それに反応するように腹部の駄々っ子は顔を上げた、それはそれは嬉しそうな笑みを浮かべて……。
ぼくの愛らしいひと
(なぁなぁ、本とボクどっちが好き?)
(……好きなのは本ですが…………愛してるのは隊長だけですよ…)
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膝枕ネタ書きたかっただk(ry
駄々っ子で子供っぽいギンもいいかなぁって…。
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