ゲンさんの瞳はそれはもう綺麗だ。一見真っ黒なんだけれど、近くで見るとそれが澄み切った蒼なのがわかる。真冬の、きんと氷が張ったエイチ湖に小さく穴を穿ち、そうっと覗き込んだときに窺える湖底とでも言えばいいのだろうか。(そんなの見たことないけど)もしかしたら宇宙というのは本当はこんな色をしているのかもしれない。(当然見たことないが)
そしてそこに日の光が差すと深海にやっと届く一条の光のような、神秘がきらきら光っているような、幾千もの時を閉じ込めているような。えもいえぬ明かりを灯し、ああなんて美しいんだろう!


――何を見ているの?

問われたので、正直に答える。

――あなたの瞳を。

不思議そうに首を傾げるゲンさん。僕は簡潔に説明した。

――きれいです、すごく。


不意を突かれたように一瞬黙ったゲンさんは、すぐに常時の微笑で囁くように礼を言った。

きっと彼はありがとうと言いつつも、その実自分の何が綺麗と言われているのかを毛ほども理解していないに違いない、僕はそう考える。
ゲンさんの瞳が美しいことは、世界中の人が納得するに決まっているのに、いつまでたっても当人だけは知らないのだ。知ろうともしないのだ。



何だか僕はそれを、酷く勿体ないと思った。



言葉にできない。
言葉にできない。







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まさにポエム。
ヒョウタ君ちょっと疲れてるんでねーの





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