「ええーっゲンさん、自動車免許持ってたんですかッ!?」
「あるよ。見せたことなかったっけ?」
「初耳ですっ!えー、何か意外ですね、どうしてです?ゲンさんが車乗ってるのなんて見たことないですけど…」
「うん、私のような根無し草は、一つでも身の証を立てられるものがあると便利だからね。普段は必要もないから特に運転しないんだ。」
「はあぁ。なるほどー。なァんだあ…」
「こらヒョウタ君、何を考えているんだ」
「…いや、次のデートはドライブにするのもいいかな、とか……」
「………うーん…」
「あ、あの!実はボクも持ってるんですよっ!メンキョ!!」
「知ってるよ。仕事でよくトラックに乗っているね」
「ですよね!で、でですよ、何でボクが今までドライブに誘わなかったかって言うと、ひとえにゲンさんが乗り物嫌いだと思ってたからでして」
「嫌いじゃないよ。私はてっきり、手頃な車がないからだと思っていたが」
「それもあります。でも車は良いんですよ、レンタカーで!」
「ああうんまあ」
「ですからね!ゲンさんが乗り物平気だというなら!しましょうッ!」
「ドライブ?」
「はい!!!」

(きらきら、ヒョウタは輝く瞳でゲンを見つめた!)
(ゲンはたじろいだ!)

「…まあ、」
「はいっ」
「ドライブとかデートとかいまいちピンとこないけど、…ヒョウタ君がそんなに言うなら、良いよ」
「ありがとうございます!ゲンさん好きだああぁぁあ!!」
「こらよしなさい恥ずかしい」


(そうしてふたりは次の休日、レンタカーを借りてドライブへ)
(ふたりだけの時間を満喫したようです)
(その帰り道…)


「いやー今日は楽しかったなあ。」
「うん、私もとても楽しかったよ」
「ホントですか?そう言ってもらえたら嬉しいです!っふ、」
「?」
「くあぁ」
「…あくび」
「――やだなァわざわざ言わないでくださいよ、恥ずかしいじゃないですか」
「ごめんごめん。そうだね、時間も遅いし、ずっと運転していたんだものね」
「全然平気ですよ、あと一時間とすこしくらいですからっ…ふあ」
「ほらまた、あくび!ヒョウタくん、少し休みなさい」
「いやでも…」
「大丈夫、私が運転しよう」
「!?」
「さあ、そこら辺に停めて。代わるよ」
「え…ゲンさんがですか!?」
「変なことはないだろう?きちんと免許は持っているし。ヒョウタ君の運転を見ていたら色々思い出したよ、任せてくれ」
「はあ…じゃ、じゃあすみません、ちょっとお願いします」

(路肩に停めて運転手交代)
(足がつかえる、と言いながら思い切りシートをさげるゲンさんに微妙な気持ちになるヒョウタ君)

「久しぶりだ、うん」
「ゲンさん、正直なところ、どのくらいやってないんです?」
「運転を」
「ええ」
「さあ…忘れた」
「!?」
「じゃあ、発車しまーす」
(がこん!)
「う、わ!?」

(突如アクセル全開むしろ全壊)

「げっげげゲンさんちょおあわわわわわ!!」
「うんうん、やはり一度覚えたことは忘れないものだね」
(バオン!!!)
「ゲンさんスピードスピードちょっはや」
「んー…ああ、こうか」
(ギュワン!!!)
「法定速度ってご存知ですかねえええええ!!??」
「ん?ごめん、ちょっとスピードメーター見てる余裕ないかも、あはは」
「スピードメーターっつうかそれよりねえちょっとタコメーターを見てくださいああああ」
「これって何でついてるのかよく解らないんだ。ヒョウタ君は知ってるの?」
「あなたに知って欲しい切実に!ああだから速いですバス!!前バス!!!!」
「あ、危ない」(猛ハンドル)
「ぎゃあああああ!!!」
「こらこら、悲鳴なんかあげてみっともないよ。トウガンさんが見たらなんと仰るか」
「こればかりは!僕は!父さんに何ンにも言わせやしないぞ!!ってぶるァ!!」
(超ブレーキ)
「おっとごめん、そこをビッパの親子が横断してたから…」
「小さな命をこよなく愛するゲンさんが愛おしいけどできればボクの顔色に気が付いて欲しい!そして急発進!!」
(グイン!!!)
「……あ、今のところ左折だったんだ」
(ギャキャキャアアアア!!!)
「ド リ フ ト ーーー!!!!」


(レンタカーショップへ到着)


「はい、お疲れさまでしたー。」
「………」
「大丈夫かい?具合が悪そうだね」
「いや…いえ……はい」
「ああ、そんなにふらついて…さあ、家まで送るよ」
「あ、すみませんゲンさん…。情けないですが、ホント足に力が入らなくて…」
「今日はたくさん遊んだからね」
「凄いなあゲンさん、一時間以上のかかるのを30分弱でついちゃうんだもんなあ…どういう魔法?あ、波導か…波導すっげえ…あとスルースキルもすげえ……」
「はは、波導は関係ないよ」

(星空を見ながらクロガネジムへ帰り着いたふたり)

「じゃあ、今日は本当にありがとう。とても楽しかった」
「ボクもです。ゲンさんの新たな一面を知ることができてうれしかったです。でも二度と見たくないです」
「?――では、わたしは失礼するよ」
「えっ泊まっていかないんですか?」
「…そのつもりだったけど、具合が悪そうだし」
「悪くないです!!」
「土気色の顔で言われても…」
「いや悪いんですけど!!悪いんですけどこれはあなたのせいですから!!」
「ええっ私のせいなのかい!?」
「マジで自覚ないんですか!このひとこわい!!」
「よくわからないけど、…なら…」

「お願いです、看病してください。っていうかそばにいて下さい。ね、何もしませんから」

「…こんなにキミを甘やかしているとトウガンさんに知られたら、本当になんと言われるか…」



(ばたん。)


(終わり。)






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らぶらぶじゃないですかーやだー

走り屋的な気質のあるゲンさんとかどうですかい。私はイイと思ったんですが…^^












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