その一言が聞きたかった (1/4)
跡部に言われて悠凪は、ゆっくりと跡部の元に行く。それに対して跡部は、そこに座れと向かいのソファを指差す。
それにコクりと頷くとゆっくりとソファに座った。そして幸村や俺も跡部に言われてそこへ座る事になる。
氷帝のメンバーも皆が座り、跡部がゆっくりと口を開く。
「クレフィス・ユウナート。お前は、ルシファーとどんな関係だ。ヒストリーログを見る限り、血を貰っただけだったはずだが」
「うん、ルシファーとは…仲間?だったのかな…よくわからない」
「ヒストリーログの中では、悠凪と絡んでるのは血を分けた時だけじゃったな」
「でもルシファーの指示で悠凪を連れ去ろうとしていたのは、確かだからね」
「チッ…目的がわかんねぇな。単に仲間意識があって連れ去ろうとしてる感じじゃなかったからな」
確かに、むしろ仲間意識があるのであればルシファー自身が来た方が早いに決まっとる。ましてや、今まで何をしていたんじゃって話じゃ。
何百年も拷問されていたのにも関わらず、悠凪のヒストリーログの中には誰かが助けに来た記憶はなかった。
そして悠凪は、相変わらず悲しそうな顔をしながら黙っている。
「でもよー普通に考えたら自分の血を分けるって結構すげぇ事なんじゃねぇの?だから、えーと…名前なんだっけ?」
「…紅悠凪」
「自分の血を分けた悠凪を使ってなんかしようとか考えてんじゃねぇの?てか、ヒストリーログ俺等には見せてくんねぇのかよ。話に付いていけねぇよ…」
「岳人の言う通りや。俺等、普通にここに居るけどなんも知らんねん…」
跡部がさて、どうするか。と言うように何かを考えている。本来、悠凪の事は上層部極秘の事じゃからな。
しかし今更、お前等に話せないとも言えんじゃろう。それで納得する連中でもないしのう。
じゃが、あのヒストリーログを見せるかと言われたら、見せない方がいいと俺は思うが。
「さっきの様子を見る限り、嬢ちゃんは俺等エクソシストや人間の敵やないんやろ?」
「…うん?敵じゃ、ない…かな?」
「つーか、せっかく俺が連れ戻したのに跡部が危ないって戻った様な奴だぜ?なんつーか、悪い奴じゃねぇのはわかってるしよ」
「そうですね…さっきも怪我を治していただきましたし…」
「ふふふっ…エクソシストに認められるって、さすが悠凪って感じだね」
俺としては、エクソシストなのにそんなに簡単に信じていいのかと思うが…。まぁ、柳生みたいに頑固なのも考えもんじゃが。
でも、氷帝の奴等は悠凪が目の前で俺や跡部を守る姿勢を見せとるからのう。
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