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見えない優しさ (1/4)


そしてその後、何事もなく練習試合は終わった。片付けをして他の部員が帰ってから悠凪を回収して跡部が待つ車へ向かう。

赤也や柳生達を呼ぶか迷ったがヒストリーログを見ていない上に跡部の口振りからして悠凪の事は、極秘の上層部情報だと判断して俺と幸村だけで行くことにした。


早く乗れと言わんばかりの跡部に悠凪が警戒をしていたが幸村に言われて渋々といった様子で車に乗った。そして車が走っている間、悠凪はずっと俺のジャージを掴んだままだった。



暫くして、跡部の別荘に到着した。日帰りで帰るのは、大変だからと氷帝のメンバーもここにいるらしい。しかし、俺等が来る事を知らせてないからさっさとついて来いと言われて跡部の後をついて行く。

悠凪は、相変わらずずっと俺にくっつくようにしてジャージを掴んだままだった。



「で、詳しく話してもらおうか。クレフィス・ユウナート」

「……………」

「むしろ、こっちが色々と聞きたいんだけど?だから悠凪を責めるのはやめてくれる」

「あーん?俺様はこいつを見付け次第、保護する様に上から言われただけだ」

「その上とやらは、悠凪を保護してなにをするんじゃろうな?」

「あーん?そんな事は知らねぇよ…」



さすがに跡部もエクソシストの上層部じゃからのう。簡単には引き下がらんか。

あのヒストリーログを見たから引き下がると思っとったが。

しかし幸村は、相変わらずの余裕の笑みを浮かべながら記録ノートをパラパラと捲っている。



「じゃあさ、あのヒストリーログの事実をどう受け止めてるの?エクソシストだからってしていい事なのかな」

「あーん?随分と肩入れすんじゃねぇの。それにお前にとってそいつは、敵でも味方でもねぇだろうが」

「まぁね。でもあのヒストリーログを見る限り敵なのはエクソシストに見えるんだけど?」

「死神は、傍観者じゃなかったのかよ?あーん?お前には、関係ないだろ」

「それがそうもいかないよ。エクソシストに混じって死神がいたからね」



それは、お前だってわかってるだろ?とパタンッと記録ノートを閉じると真剣な顔で跡部を見つめる。

悠凪と俺は、二人の会話を聞いているだけじゃ。むしろ、俺がいる意味があるのかと思っとる。

しかし、先程からいつもと違う雰囲気で俺にしがみついている悠凪を見るといた方がいいのかと思ったり。


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