ふしぎな違和感 (1/4)
…どうしてこうなった?
なかなか寝れなかったのとブンちゃんと約束したのもあって今日は、朝練に参加した。
久し振りの朝練もなかなかいいのう。なんてブンちゃんと話しながら教室に入ると目を疑った。
昨日となんの変わりもなくあいつが席に座っていたのだ。
「なんだよ、仁王?」
「い、いや…なんでもないぜよ」
「お、紅お前早いな!」
「うん?おはよう」
「ちょ、ブンちゃん待ちんしゃい!」
教室に入ると急に立ち止まった俺に頭を傾げるブンちゃんだったが俺の視線の先を見て、そのまま走って行ってしまう。
ブンちゃんをあいつに近付けさせたら不味いとすぐに追い掛けるがブンちゃんは、なんの躊躇もなく俺の席に座り声を掛ける。
そしてすぐにブンちゃんを立たせて席から離すようにするとブンちゃんがなんだよ?と怪訝そうな顔をする。
あ、焦り過ぎてらしくない事をした事に今更気付いて作り笑顔を浮かべて抜け駆けはダメぜよ。と言うとブンちゃんは、呆れた様に笑った。
「つか、それお前に言われたくねぇんだけど…」
「なんの事かわからんのう」
「おはよう?」
「……っ!お、おはようさん」
「あ、そうそう!俺は、丸井ブン太って言うんだ。シクヨロ!」
「うん?紅悠凪、しくよろ?」
急に声を掛けられて反応が遅れた俺を押し退けると勝手に自己紹介を始めた挙げ句、紅の手を握るとぶんぶんと上下に振った。
しかも目の前の紅は、頭を傾げながらもブンちゃんにされるがままである。
………おかしい。
ブンちゃんは、悪魔からしたら欲しくて欲しくて堪らない魂の持ち主だ。
柳生やジャッカルが特殊な術式でそれを隠してはいるがブンちゃんに触れたりしたらすぐにバレてしまう。つまり、こやつがブンちゃんの魂欲しさに現れたのであればこの場で連れ去るはずだ。
なのになんの行動もせずにただブンちゃんの問いに答えているこやつに、疑問を抱く。
魅魂のブンちゃんに触れた瞬間になんかしらの反応があればすぐに対処したが…なんの反応も示さん。
「なぁ、悠凪って呼んでいいか?」
「うん?いいよ?」
「じゃあ俺もブン太でいいぜい!」
「ブン太?わかった」
「へへっ!なら仲良くなった記念にポッキーやるよ!ほらよ」
「ありがとう」
嬉しそうにポッキーを食べる二人に、もうなにがなんだかわからない俺はブンちゃんを押し退けて紅の腕を掴み教室を出た。
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