其々の覚悟と願い　(1/4)

俺が放った言葉に丸井先輩が目を丸くしたかと思ったら、凄い勢いで頬を殴られた。



｢っ、お前っ！ふざけんな！勝手になんでも決めやがって…人間だか悪魔だか知らねぇけど…俺は、お前や悠凪を置いて逃げたりしねぇ！｣

｢死ぬッスよ｣

｢…うむ、しかしそれはお前も一緒じゃないのか？吸血鬼といえ、いずれは死ぬだろう｣

｢俺は先輩達程、脆くないッス。防壁創るんで…多少は大丈夫ッスけどすぐ逃げて下さい｣



…丸井先輩に殴られた頬が酷く痛くてまともに先輩達を見れない。

それでも俺は、後戻りは出来ないから…ゆっくりと呪文を唱えて４人に防壁を張った。障壁よりは防御力はあるけど…ルシファーの攻撃を一発防げるかどうか…というレベルだ。

だからこそ、早く先輩達を逃がさなきゃならない。

なのにっ…



｢これ以上の勝手は、許さないよ…赤也｣

｢幸村部長…｣

｢お前は丸井達を連れて逃げろ。俺は、悠凪と戦う。その為に来たから｣

｢そういう事じゃ、じゃからもう守らんでいいぜよ。お前は、ブンちゃん達を守れ｣

｢な、なに言ってっ…！先輩達じゃまともに戦えないのに！！｣

｢ふふ、知ってるよ。でもね、もうこんな種族がどうのこうのでみんなが争うを見るのは嫌なんだ｣

｢赤也、お前も覚悟して吸血鬼になったんじゃろ？それと同じじゃ｣



すまんな。と軽く俺の頭を撫でると幸村部長と仁王先輩がエクソシストと悪魔達に突っ込んでいく。

…っ、なんで…先輩達は俺より弱くて…まともに戦えないのに！仁王先輩なんて非戦闘種族で半分人間なのに…どうして。

ギリッと下唇を噛む。

そして目の前で未だに動きがない４人を睨み付ける。



｢足手纏いなんスよ！さっさと逃げろって言ってっ…｣

｢…赤也、もういい。お前の気持ちはわかった｣

｢なんもっ…なんもわかってないッスよ！｣

｢確かに、俺等はお前の言う通り足手纏いだろう。だが、仲間を見殺しにする程薄情ではないぞ｣

｢…赤也、ごめんな。俺が…弱いばっかりに。３人は俺がどうにか守るから…ここにいさせてくれ｣

｢…うむ、今更逃げ出すなどせん。お前は、お前が守りたいものを守り戦え。俺達もそうする｣

｢っ、ジャッカル…小刀貸してくれぃ。悪魔は無理かもしんねぇけど人間の相手なら俺でも出来るだろぃ｣




そしてジャッカル先輩から受け取った小刀を丸井先輩が軽く俺に突き付けると、おらさっさと悠凪連れて帰るんだから働けワカメと泣きそうな顔で笑った。

相変わらず、この先輩達は俺の話を聞いてくれないらしい。

死ぬかも知れないのに…むしろ、人間の丸井先輩や柳先輩、真田副部長は悪魔の攻撃で一瞬で死ぬのに…

本当にこの人達には色んな強くて、一生敵わないと思った。


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