世界は叶えてくれない (1/4)
今日はエクソシストの柳生先輩、死神の幸村部長と半分悪魔の仁王先輩は跡部さんに呼ばれていない。
だから今日は、俺とジャッカル先輩が悠凪先輩と丸井先輩を守らなきゃならない。
ジャッカル先輩が居れば万が一はないと思うけど、やっぱりいつも傍にいてくれた幸村部長や仁王先輩がいないと不安になる。
というのも、この辺りで悠凪先輩を探すエクソシストとルシファー直属の上級悪魔が出たとの事で跡部さんがわざわざこっちに来たらしい。
最初は、悠凪先輩も連れて行くって話だったんだけど…跡部さん達との話し合いとは別にエクソシスト上層部の話し合いもあるらしく、そっちに感付かれると困るって事で悠凪先輩は俺達といる。
「今日は、ジャッカルは俺ん家来んだろぃ?」
「おう」
「なら悠凪と赤也も来るか?暇なんだろぃ?」
「え、いや…俺は」
「………、ジャッカル…」
「…あぁ、赤也…ブン太を連れて先に家行けるか?俺と悠凪はちょっと買い物してから行く。絶対に振り向くなよ」
「えっ…」
ピタリと悠凪先輩が足を止めたかと思ったら肌がピリピリして、ジャッカル先輩が焦ったように俺を見ながらそう言った。
そんなジャッカル先輩に丸井先輩は、は?別に買い物とかいいだろぃとか言いながら先をジャッカル先輩と悠凪先輩を見つめるが2人は、完全に丸井先輩を見てなくて背後を気にしてるみたいだった。
俺にはなにがいるのかわからないけど、このピリピリした空気は確実に俺がいたら足手まといになる…それになにも知らない丸井先輩をこの場に置いておけない。
本当ならジャッカル先輩が丸井先輩についてるべきなんだろうけど…
「…っ赤也!走れ!」
「ブン太と赤也のにおい消すから…早く」
「…っ、丸井先輩行くッスよ!!」
「うおっ…な、なんだよぃ!?お、おい…赤也っ!」
ザワリとした感覚して咄嗟に丸井先輩の腕を掴んで走り出した。多分、ジャッカル先輩が結界を張ったんだと思う…つまりここで戦闘するって事だ。
…ジャッカル先輩と悠凪先輩も心配だけど、今は早く丸井先輩をここから逃がさなきゃならない。
丸井先輩を家に送り届けたらすぐに戻って来ればいい。俺は、今すべき事をしなきゃならない。
「…っ、赤也!離せ!」
「ダ、ダメッス!丸井先輩は、家に早く帰るんスよ!!」
「は?つーか、急になんなんだよぃ…ジャッカルと悠凪んとこ戻っ」
「い、行かせないッスよ!」
「…はぁ?さっきからお前なんなの?」
イライラした様子の丸井先輩に必死に家に帰る様に言うが、意味がわかんねぇしとスタスタと元来た道を戻って行ってしまう。
魔術で動きを封じようかと思ったけど、よく考えたら悠凪先輩の障壁があるから意味がない事に気付き必死に丸井先輩を追い掛けながら説得を試みた。
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