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んー、えーと…なんでこんな事になったんだっけ? 確か、原くんにジャンケンに負けたら飲み物を持って来るとか言う謎の賭けをわたしがジャンケンに負けた後に言われて…渋々、飲み物を取りに来たんだよね。
そしたら、急にドアが開いたかと思ったら色黒の強面の人がズカズカと中に入って来て…腹が減った気がするからなんか作れとわたしに命令してきて、そこに今度は可愛らしい容姿の男の子が謝りながら入って来た感じだ。
え、えーと…名前は知らないけど、確か…今吉さんと同じ制服だし、そこまで警戒はしてないけど…なんか威圧感が凄くてちょっと怖い。
「お前、料理出来んだろ? なんか作ってくれよ」
「えっ…ま、まぁ…作れますけど…」
「すいませんすいません! 僕が作るんで大丈夫です! うちの青峰さんがすいません!!」
「今日は、良って気分じゃねぇんだって。だからって、他にうちで料理出来るヤツいねぇし。だから、あんたにお願いしてんだよ」
「え、えぇ〜…」
「じゃ、肉でよろしくな。ロビーで待ってるわ」
もうね、全然わたしの話を聞く気がないよね。そしてわたしの返事を聞く前に部屋から出て行く彼に唖然とする。じ、自由過ぎるでしょ。
そもそも、わたしは原くんに飲み物を届けなくちゃいけないのに…なんでこんな事になってしまったんだ。
だけど、今更嫌ですと言うべき相手はいない訳で…かわりにさっきから謝り倒している彼だけが残っている。
う、うーん…とりあえず、原くんに飲み物を届けてからじゃないと後が怖いので、彼に少し待っててくれる様に頼んで急いで飲み物を原くんへと届ける。
なんでもいいって言ってたし、そんなもんペットボトルのミネラルウォーターを渡しとけばいいのだ。
そして部屋で暇そうに寛いでいる原くんにミネラルウォーターを投げ渡して、すぐにキッチンへと戻った。なんか原くんから非難の声が聞こえた様な気がしたが、今は無視である。
「あっ…待たせてごめんなさい。え、えーと…わたしは沢村って言うんだけど…」
「ぼ、僕は桐皇学園1年の桜井良です。さっきの人は、僕と同級生で…青峰大輝さんです」
「桜井くんと青峰くん…ね。え、えーと…本当にわたしが何か作らないといけない感じかな?」
「は、はい…す、すいませんすいません! 僕が作るとすぐにバレちゃうと思うんで…すいません!」
「い、いや…桜井くんは悪くないからそんなに謝らないで欲しいな…。ていうか、わたし…そこまで料理は得意じゃないんだけどなぁ…」
青峰くんと桜井くんの会話を聞いた限り、桜井くんは料理が出来るみたいだし…いくら気分とはいえ、ほぼ初対面のわたしに頼むのはどうかと思う。
それに別に料理は出来るけど、得意ではないからね。正直、不安しかないよ。
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