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原くんと山崎くんに怪我の具合を見て貰った結果、原くんがわたしに付いて来てくれる事になって…恐る恐る部屋を出た。
花宮くん達に探索の報告をしなくちゃならないのもそうなんだけど、原くんが倉多さんに聞きたい事があるみたいだし。
ちなみに原くんには、基本的にわたしは黙ってる様にと言われ、更には赤い頬を髪の毛と頬杖を付いてる感じで適当に隠しとけと言われた。なんか無理難題を言われている。
そして、倉多さんを含め…赤司くんまでいて、既に逃げたくなって来たよ。
「お待たせ〜。奈々ちゃんてば、マジでトイレ長くてさぁ」
「お、お腹の調子が悪くて…」
「あぁ! だから、あんなに慌ててたんスねぇ。でもトイレならそこにもあったのに」
「そうだね。次は、そっちを使うといいと思いますよ」
「そ、そうだったんだね。原くん達の部屋のしか使ってなかったから…ははっ」
「……で、報告は? さっさとしろ」
そういえば、トイレの位置を赤司くんに聞いてたんだった。それを思い出したのはいいが、時すでに遅し。赤司くんに、意味有り気に柔らかい笑みを向けられてドキリとした。
そして、倉多さんの鋭い視線を感じながら…探索での事を花宮くん達に説明した。もちろん、わたしと黄瀬くんが報告出来るのは、主に化物の事だけだからそんなに長くはなかったんだけど。
それよりも、その話の最中に黄瀬くんを何度も心配する倉多さんに、隣にいた原くんが苛々してて怖かった。舌打ちしまくってた。
「って感じッスかね? 奈々ちゃんのお蔭でどうにかなった感じッスね」
「へぇ…サソリ、ねぇ? ちなみに嗅覚が鋭いのは当たってるが、サソリは空気の振動でも獲物を感知するんだぜ?」
「…そ、それは知らなかった」
「まぁ、身を隠してて動く奴はそういねぇだろうが、一応頭には入れとけ」
「涼太くんが無事で本当によかったぁ…! 曖昧な知識で、涼太くんが怪我しなくてよかったよぉ…」
……曖昧な知識ですみませんでしたね。
それと、いつの間に黄瀬くんはわたしを名前呼びしてたんだ? さっきから、黄瀬くんがわたしの名前を言う度に倉多さんから睨まれるんだけど…怖い。
そして一応、報告は終わったんだけど…隣にいる原くんと何故か、ずっと黙っている瀬戸くんがどうにもこうにも機嫌が悪い様で怖い。しかもそれを察しているのか、花宮くんはニヤニヤしてるし。
わたしは、出来る事なら今すぐこの場から離れたいんだけど…。そろそろ、頬を隠しているのも限界があるんで…。
ていうか、瀬戸くんはなんでそんなに機嫌が悪そうなんだろう。アレかな、まともな報告じゃなかったから不満なのかな。
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