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とりあえず、わたしが花宮くんを見付けるまでの花宮くんとの会話や行動を全て話した。
正直、信じて貰えるかはわからなかったけど…みんなはただ黙ってわたしの話を聞いてくれた。
「なるほどね、大体は把握した」
「……ごめんなさい」
「いや、まぁ…別に沢村は悪くねぇと思うけどな。花宮が1人で行かずに待ってりゃよかった話だし」
「で、でもわたしも待っててって言わなかったし」
「いや、普通にトイレ待たれるとか嫌じゃない? そもそも、花宮はこうなるってわかってて1人になったと思うし」
「そ、そうなの?」
「まぁでも、ちょっと怪我するかもくらいの気持ちだっただろうけどね。流石の花宮もまさか意識を失うとは予想してなかったと思うよ」
わたしの話を信じてくれたかはわからないけど、全然花宮くんを心配している感じではなくて…むしろ、こうなる事は薄々わかってたと言わんばかりの態度のみんなにわたしが不安になった。
なんの為に花宮くんがそこまでの無理をする必要があったんだろう。自分の身に何かあるとわかっていたのに、わざわざ1人になったりする理由も意味もわたしには全然わからない。
花宮くんの身が危険だとわかっていたのなら、ちゃんとわたしに言って欲しかった。正直、わたしは自分の心配ばっかりしてたから…花宮くんなら…霧崎のみんななら大丈夫だろうとか軽く考えていた。
………自分の身になにか、
「あっ、わたし…花宮くんに頼まれてた事があった」
「…花宮から? なにを?」
「えっ…とね、奥のベッドの下? 底? にメモを残しとくから俺になんかあったら霧崎のみんなと見ろって…感じで言ってた」
「古橋」
「あぁ、任せろ」
「それいつ言われたの?」
「…ちょっと正確には覚えてないけど、わたしが陽泉の人達と探索に行く前くらいだとは思う」
「あったぞ。これが分かりにくい場所に貼り付けてあった」
先程ベッドの下を覗き込んでいた古橋くんが小さく畳まれた紙を持って来ると、瀬戸くんがそれを受け取り広げた。
正直、わたしは見るのが怖かったので覗き込む事はせずに瀬戸くん達の様子をただ見ていた。
わたし以外の全員が花宮くんが残したメモを黙って読んでいて、とてつもなく居心地が悪かった。
ていうか、花宮くんには一緒に見ろって言われてた気がするけど…別にわたしは見なくてもいい気がする。多分、めちゃくちゃ難しい事が書いてありそうだし。
「…あぁ、なるほどね。はぁぁ…花宮の事ちょっと甘くみてた。はい、奈々も読んでみな」
「えっ…あ、いいの?」
「いいもなにも、このメモの事は花宮から聞いたんでしょ? ていうか、俺等は知ってたし」
「えっ!?」
「試した訳じゃないけど、奈々から言い出さなかったら俺等だけで確認する予定だった。どうせ、ろくでもない情報だし。奈々は変に責任感じそうだし、なにより面倒臭いからね」
「まぁ、奈々ちゃんの事だから本気で忘れてる可能性もあったから大して期待はしてなかったんだけどねん」
瀬戸くんに差し出されたメモを受け取ろうと手を伸ばした時にそんな事を言われて、思わず手が止まり瀬戸くんを見上げると薄く笑われた。
そして、サラッと失礼な事を言ってケラケラと笑っている原くんは何故かよく覚えてたねぇ〜偉いねぇ〜とバカにする様にわたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
くぅ…なんか悔しいけど、否定出来ないのでキッと原くんを睨みつつ瀬戸くんからメモを受け取った。
確かに試された訳じゃないけど、役に立たないから別にいっかみたいな扱いをされている事にちょっとだけ悲しく思ったが、花宮くんのメモを読み…前言撤回したくなった。
やっぱり、わたしはこのメモの事を忘れとけばよかったかもしれない。
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