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20*(1/4)


ベッドのある2階の部屋に着くと、花宮くんはすぐにわたしを置いて部屋から出て行ってしまった。

……さ、寒い。

正直、此処で服を脱ぐのはかなり抵抗があるけど…そんな事を言っていられないくらいには寒い。

仕方なくびしょ濡れの制服を脱ぎ捨て、下着姿でベッドに入る。下着もびしょ濡れだけど、流石に脱ぐ勇気はなかった。

体の震えは幾分かマシにはなったけど、寒い事にはかわりないんだよね…。

…な、なんかボーッとして来たかも。ちょっと温かくなったからかな…?



「おい! 何寝ようとしてんだ。死にてぇのかよ」

「は、花宮くん…ボーッとしてて」

「だろうな。お前の顔色、青いを通り越して白いからな」

「っ…目が、重い」

「…つーか、お前こんなに体が冷えてんのに何も言わなかったのかよ。バカじゃねぇの」

「は、花宮くん…も我慢してるって思ってた」

「そもそも、俺は寒さに強い方じゃねぇんだよ。だから、本来なら今のお前と同じ状況になってねぇとおかしいんだよ」



…ははっ、確かに花宮くんは寒いの苦手そう。もちろん、暑いのも嫌いそうだけど。

そんな事を思いながら、必死に意識を失わない様に花宮くんの言葉に耳を傾ける。

ね、ねむい…のかな?
ボーッとする感じなんだけど、なんか変にふわふわする感じで…寒さはあんまり感じなくなってきた。

だけど、間違いなく良くない状況だってのはわかる。



「…っ! いた!!」

「寝るなって言ってんだろ」

「だ、だからって…叩く事ないじゃん」

「あ? 死ぬよりマシだろ。つーか、お前…マジで運動してねぇだろ。全然温まってねぇじゃねぇか」

「そんな事…言われても」

「はぁ…ったく、面倒くせぇな。おい、死にたくねぇならギャーギャー騒ぐなよ」

「っ!?!?」



頭を叩かれたかと思ったら、首元を触られた。そして何故か、全く運動をしてないと言われてしまった。いや、確かに…学校の授業以外で運動とかしてないけど…。

とか思っていたら、花宮くんが物凄く自然に服を脱ぎ始めて声にならない悲鳴をあげた。

え、いやっ…えぇ!?
いや、わかるよ? いくら、わたしがバカだからってこの状況で服を脱ぐって事は、つまりそういう事で…花宮くんなりにどうにかしようとしてくれてるのはわかるけど…



「いっ…む、むりぃ!!」

「…あ? ぶっ飛ばすぞ。有り難く温められとけ」

「ひっ…ち、ちかっ! ひえっ…ぎぇ!!」

「…テメェは氷かよ。どんだけ冷えてんだよ」

「ぐ、ぐるじいっ…花宮くん、ちからつよい」

「あ? なら暴れんな。ジッとしてろ」



恥ずかしいやら、申し訳ないやらでわたしの頭はパンクしそうですが…花宮くんはまるで平気そうです。

そして花宮くんの肌の温もりを感じながら、必死に花宮くんからの罵倒に耳を傾けた。

なんで恋人でも好きな人でもない、花宮くんと裸(下着姿)で抱き合っているのか…。

いや、理由はわかるんだけど…わたしはとても恥ずかしいし、悲しいです。何か大切なものを失った気がします。


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