有能な生け贄 | ナノ
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結果的に地下へ戻る事は、出来たんだけども…シロが思ったより消耗してしまった様でかなり顔色が悪い。

いや、まぁ…普通に考えて万全じゃなかったのに魔術を使いまくってたからね。

大丈夫と言ってはいるけど、どう見ても大丈夫では無さそうなので…仕方なくシロを連れ出す。

なんていうか、わたしはシロの魔力補給係だからね、仕方ないね。もちろん、後で面倒臭くなると嫌なのでシロに魔力補給させるから〜って感じで説明はしたよ。また乱入されても困るし。ていうか、わたしが嫌だし。

ちなみにシロは、わたしが良ければ拒みはしないらしいけど、自分から魔力補給をしたいとは言いたくないらしい。全くもって意味がわからない。

…悪魔とは一体。



「シロはさ、なんでそんなにわたしを優先すんの? わたしがいないと封印が解けないのはわかるし、扱いが雑じゃなかったって言うのもわからなくもないけどさ。いくら万全じゃなくても、シロは悪魔じゃん? 無理矢理、魔力補給とか出来るんじゃないの?」

「無理矢理して欲しいの?」

「ちょ、急に怖いじゃん。ただ、不思議に思っただけ。悪魔ってもっと欲深いというか、自分勝手というか…まぁ悪いイメージしかないからさ」

「その認識で合ってるよ。ただ、僕の場合は人間を殺したり陥れたりするタイプじゃないってだけ。もちろん、契約で代償が命って場合もあるけど…僕の場合、別に気持ち良ければ命とか要らないし」



いや、急にド直球でウケるんだけど。いや、まぁ…インキュバスってそういうもんだろうし、仕方ないけどさ。

だけど、それって無理矢理魔力を補給しない理由にならなくね? そもそも、補給でわたしは死なないんだしさ。キスくらい別に減るもんでもないじゃんね。

それともアレか、純粋にわたしに悪いと思ってるとか? 好きでもない相手とキスさせるなんて〜みたいな? なにそれ可愛い。悪魔なのに優しいかよ。インキュバスならそこは、強引にいくところじゃね? いや、別に構わんけどさ。



「僕から頼まないのは、歯止めが効かなくなるから。それに僕の願いを受け入れた事になるし、おねぇちゃんに対して何してもいいやって気持ちになっちゃう」

「思ってたよりかなりぶっ飛んだ思考だった。つまりは、わたしの立場が下になると困ると」

「うん。おねぇちゃんは、仕方なく僕に魔力補給をしてあげてるって事が大事なの」

「悪魔って難しいねぇ」

「支配欲の塊だからね。だから、おねぇちゃんが僕の言いなりになっちゃったら困る」

「いや、それは絶対にならないから安心していいよ」

「うん、おねぇちゃんはそのままでいて欲しい」



ほーん、なるほどねぇ。
今の状態のシロは、立場的にはわたしより下って事ね。で、その上下関係があるからシロはわたしを優先すると。

まぁ、確かに悪魔が人間を下に見てるのは当たり前な気がするし、だから好き勝手するんだろうしね。

だから、シロの中でわたしの立場が下になっちゃうと今みたいに接する事が出来なくなるから困ると。アレか、悪魔の性ってやつなのかな。自分より下のヤツは、どうなってもいい的な。

つまり、シロの中でわたしが下になった時点でわたしは喰いモノにされる可能性があるという事ですな。

アレ? 思ってたよりすげぇヤバい関係じゃね? しかも約束までしちゃったんだぜ? わたし、マジでヤバいかもしれん。


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