有能な生け贄 | ナノ
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07*(1/4)


結果だけ言えば、氷室は無事にシロの魔術を解除する事が出来た。

だがしかし、精神力を使ったせいか氷室は虫の息だ。そんな氷室を心配そうに見つめながら、ごめんなさいとありがとうを口にしているシロ。

ほぅ…本当に話せる様になってるっぽい。魔術ってすげー。



「おい、魔術は解除してやったんだ。お前が知ってる事を全て話せ」

「解除してやったって…解除したのは氷室なんだよなぁ」

「黙れブス」

「うるせぇクソ眉毛。で、シロは人間じゃないけどわたし達の味方なんだよね?」

「…うん。まず、呪術を解いてくれてありがとう」

「うわ、普通に喋るんだ。つか、千夏に礼を言う必要ねぇし、うける」



よし、うるさい黙れ。

シロに警戒心バリバリの一哉に蹴りを入れて退かし、不安そうな顔をしているシロと視線を合わせる様に少し屈む。

仮にわたし達の味方じゃないなら、すぐになんかしらアクションするだろうし。そもそも、言葉やら色々と封じられてる時点でまぁ…どっちかというとわたし達と同じ感じじゃん?

とりあえず、氷室の犠牲(死んではいない)はあったもののシロから有力な情報を聞き出せそうでよかったぜ。



「ねぇねぇ、室ちんがなんかすっげぇ死にそうだけど大丈夫なんだよね?」

「…うん、精神力を使ったから…ごめんなさい。時間が経てば元に戻る」

「ならいいや。で、本当に脱出の方法知ってんの?」

「…はい、今から話します」



なーんか、見た目が子供なのに話し方がちょっと大人びててなんかアンバランスで気持ち悪いんだよなぁ。まぁ、表情が乏しいなのも原因なんだろうけど。

それに、なんかちょっと敬語なんだかタメ口なんだかよくわかんない話し方だから余計に頭が混乱する。

いやまぁ、別にいいんだけどね。

そして、ゆっくりと話し始めるシロに全員が静かに耳を傾けた。


▼△▼△▼

その結果、わたし達は頭を抱えた。特に頭脳派の方達は、今の状況が余りにも非現実過ぎてすげぇ顔してますよ。

ちなみにわたし達は、非現実的とか今更過ぎるから余り気にしてないですけどね。

ていうか、何が脱出方法だよ。危うく自ら生け贄になるところだったじゃねぇか。



「クソ仕様過ぎてキレそう」

「でも花宮は気付いてたよね」

「あ? んなの当たり前だろ。そもそも、脱出に必要なもんが聖女の血って時点で異様だろうが」

「そうなんですか? やはり、魔術となると生け贄というか…必要なモノはあると思いますが」

「そもそも、これに書かれてる脱出方法の呪文と魔法陣が移動関係のモノと全く違うんだよ。むしろ、召喚とかの類いのもんに似てる」

「ははっ…そこまでわかるんか。さすがのワシも引いてまうわぁ」

「うるさいです」



あ、そこまで調べてたんですか。さすがというか、なんというか…まぁ、ラテン語も読める訳だし他の呪文と比べたりして、色々とおかしいって気付いてたって事か。

とりあえず、今の状況では脱出は不可能って事だよね。


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