あれは何ですか?


少女はしぐれと名乗った
生前はそう呼ばれていたらしい。

俺が外出する時は必ずついてきた。

目を輝かせながら街をきょろきょろしていたが
街を行く人はしぐれの存在に気付いている様子はなかった。

『臨也さんはすごいですね』

なんでも知ってる

その言葉とは裏腹に悲しそうな目をしていた。

「なんでも知ってるわけじゃない。
知らないから知ろうとするんだよ。
今の君みたいにね。」
『そうかもしれません。
でも知りすぎるのは寂しいです。』

知らなければよかった
なんて、後悔するでしょう?

「後悔するほど生半可な気持ちでこの仕事はしてないけど」
『それでもきっとあると思いますよ。
この先きっと。』

そう残してしぐれは部屋を出て行った


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