恋するキモチ


「あれ?珍しいね。今日は弁当じゃないんだ?」

後ろから声がした。

『そうなんだよー。寝坊しちゃってー……って、え?』

普通に会話してしまったが
誰と話しているんだ自分。

いや、知っている。わかってるさ。
自分が今、恋してる相手なんだから。

振り返ればワインレッドのYシャツに
短ランを着た折原臨也がいた。

『折原くん…っ!』

何でいつも弁当だと知っているんだろう
いつも教室にいないのに

彼はくっくっと笑った

「あ、そうだ。どうせなら俺と一緒に屋上d「いいいいいいいいいいざああああああああやああああああああああああああああああああ!」

一瞬だった。
声の方を向いたと同時に視界に飛び込んでくる何か。

そしてぐらりと体がふらついた気がした。

「全く、危ないなあ。危うく犠牲がでるところだったよ」

何があったのかよくわからない。
とりあえず彼に今、抱きしめられていることだけ認識できた

彼は大丈夫?と私に聞く
勿論大丈夫なわけがない。

いろんな意味で。

やばい、今なら死ねる
本気でそう思った。

「てめぇ…動いたら殺す」
「やだなぁ、動かなくても殺すでしょ。
第一、動くなと言われて動かない奴なんていないし」

じりじりと距離を詰めてくる

平和島くんの威圧感が尋常じゃない。
本当に視線だけで人を殺せそうな勢いだ。
標的が自分ではないけど
震える。怖い。

「ごめんね、しぐれちゃん」

小さくそう聞こえたような気がした瞬間
私は突き飛ばされていた。

無論、平和島くん目掛けて、だ。
私も、相手も、驚いていた。

避けないで受け止めてくれたのはありがたいけど
折原くんは既にいなくなっていた

私はへなへなと床にへたり込む

緊張やら恐怖やらからやっと解放されたんだから
まあ、当たり前だと思う。
とりあえず疲れた。

「大丈夫か?」

先程と同一人物とは思えないほど
控えめな声できかれた

『え、あ、うん。大丈夫…です。』

なんで敬語なんだよ自分!

そう思ったが、特に気にしている様子も無かったので
自分も気にしないことにする。

彼は一言謝罪をすると
来た道を戻って行った。

何がなんだかわからないまま
自分も教室へ足を向ける。

折角のお昼休みを無駄にしてしまったような気がする…。


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