ボクの隣のキミとボク


「ねえしぐれ」
「なにー今手離せないんだけど?」

いそいそと部屋を整理しながらしぐれは振り返ることなく言った。

「引っ越しなんてしなきゃいいじゃん」
「そういうわけにはいかないの。臨也と違って私は普通の社会人なんだから」

こんな時期に転勤とか大変だね
そういったら他人事みたいに言わないでよと返された

「だから俺がしぐれを雇うから今の会社なんて辞めちゃいなよ」

高校時代からずっと言ってることだ
しかししぐれは絶対にヤだといってとりあってくれない

「しぐれの会社に手を回せば辞めさせることだってできるのに」
「私はこの会社がよくて働いてるの。それに人が引っ越しで忙しいってのになんで来るかなあ…」

ぶつぶつと言いながらも手を休める気はないらしい

「ふぅ、こんな感じかな。さて、もう終わったし臨也も帰った帰った」
「俺はまだ用は終わってないんだけど」
「私は用が無いから。そうそう、もう私の前に現れないでね。それじゃあ」

バタンッ

と背中を押され部屋を追い出された。

「まったく強情なんだから…しぐれは…」



(ここでの関係は終わっても)
(そんなんで俺は諦めないから)



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