イケメン四天王 | ナノ
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「ここです。すみません、こんな真ん前まで送っていただいて」

私が岩泉さんに彼女の有無を聞いてから、おかしな空気になってしまって。お互い黙って歩く。足音だけが耳に届き、5分くらいそんな気まずい雰囲気に包まれ、ようやく自宅に到着する。

「ありがとうございました、」
「…あのさ」

なまえちゃんは彼氏いるの?って聞かれた。どういうことだろう、と考え込んでしまう。考えることなんてひとつもないのに。
答えは一つなので、いません、と彼の方を見て答えると、彼と思いっきり目が合って。

「そっか、」
「…はい」
「あの…なまえちゃんが迷惑じゃなかったらさ、連絡してもいい、」
「…岩泉さんは、迷惑じゃないんですか」
「迷惑じゃねぇよ。なまえちゃんと連絡取りたいから聞いてんの」

なんでそんなことを堂々と目を合わせて言うんだ。期待してしまうからやめていただきたい。そう思いながらぜひよろしくお願いします、と、訳のわからない返事をした。

「ごめん、引き止めて」
「いえ、あの…ありがとうございました」
「ん、じゃ、またね」
「時間、遅いので気をつけてくださいね」
「うん、ありがとう」

連絡すっから、という彼。どうしたらいいのかわからず、控えめに手を振った。彼も手を振り返してくれる。それだけで心臓がきゅうきゅうと締め付けられた。
彼の姿が見えなくなると、すぐに携帯を取り出して岩泉さんにメッセージを作った。楽しかったです、ありがとうございましたって、それだけのメッセージ。
送信と同時に、彼からもメッセージが届く。突然ごめん、ありがとうって。岩泉さんからのメッセージはそれだけなのに、じわじわ身体の芯が熱くなる。あぁ、どうしよう。どうしたらいいんだろう。自宅の玄関の前で立ち尽くしていた。さっきまで一緒にいたのに、また会いたくて仕方なかった。

2016/02/21