7 沖縄のあらゆる戦争の跡地を見学してきた今日。俺は何故か酷く疲れていた。確か壕とかいう洞穴の中から出てきた時あたりからか。そんなに自然壕が俺の体力を奪って行ったのか。 食事もそこそこに、部屋に入って直ぐベッドに飛び込んだ。冷たくて気持ちが良い。 「今日は枕投げて来ないんだねー」 「もう手前を相手にするのも疲れたわ…」 ツッコミを入れたいのは山々だが、そんな力も無い。ていうか近付くなよきめぇ来んな。 寝返りを打ち、俺は壁と向かい合った。 「ふふっかーわいー。ちゅーしたい」 「なんでそうなんだよ」 「いいじゃん減るもんじゃないし。ていうかお風呂入ろうよー大浴場広かったよ!」 「手前だけで行け」 「つまんないー」 つまんなくて良い。面白くてたまるか。 「じゃあ今日は部屋のバスルームでいいや…」 そう言っていそいそと着替えの準備をしたノミ虫。あいつが風呂から出てきたら俺も入らないと、とぼんやり考えていたら、瞼が徐々に降りていった。ああこれ寝る。そう考えたのが最後だった。臨也はつまんない、と言っていた筈なのに鼻歌がやけに楽しそうに聞こえた。 「………っ」 は、と目が覚め、時計を見ると短針は10を差していた。2時間寝てしまった。起き上がり辺りを見回すが、臨也の様子はなかった。 さすがに2時間も経てば風呂からは上がっている筈だ。部屋にはいないが多分新羅んとことか、あるいは外とか、適当にぶらついているんだろう。 そう考えてバスルームの扉を開けたのが間違いないだった。 バスタブとトイレが同じ部屋にあるタイプのバスルームで、俺は見てしまった。 臨也が着替えてる所を。 「わおっシズちゃんたら大た」 「!悪ぃ!」 ばあん、と勢い良く扉を閉める。見た、見てしまった。臨也の、真っ白で細くて濡れてる、身体を。 「…っ…!!」 って何意識してんだよ俺は! 別に見たくて見た訳じゃねえし!バスルームがトイレと繋がってるせいで扉が曇りガラスじゃないから臨也が入ってるなんて気づかなかったんだよ!つかなんで2時間もシャワーしてたんだよくそっ死ねバカ臨也!! 頭の中でひたすら叫んで部屋に戻った。顔が意味わかんねぇ位ひたすら熱くて、こっちが死にそうだ。ほっそい身体しやがって…ちゃんと食ってるのか…って考えるんじゃねえよ俺の脳! 正常な思考が出来るように壁に頭をガンガンぶつけたがぜんっぜん痛くない。 「シィーズちゃぁーん」 途端に、後ろから甘えたような声で耳元で囁かれた。息が詰まり、ぞくりと背筋が震える。 「もう俺着替えたから振り返っても大丈夫だよ?」 「んなこたぁ分かっとるわ」 「ふふっ…次、入れば?」 「…………ああ…」 今臨也を見てはいけない気がする。見たら俺が俺でなくなりそうな気がする。 目線を合わせないように自分の着替えを乱暴に漁り、風呂に直行した。 「あ、やべ…机にカメラ置きっぱじゃん…。シズちゃんにバレてなかったかな…?シズちゃんの寝顔かっこよくて可愛くてつい1時間半ほど撮りまくっちゃったからなあ…カメラ貸してくれた新羅には感謝、だねっ。…ふふふっあとでたくさん印刷してもらおうっと!」 シズちゃんがDTすぎる |