連載 | ナノ




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風呂から出たら、着替えが無かった。シズちゃんにバスルームに投げられたから着替えを用意する事が出来なかったんだ。

備えつけのバスタオルで身体を拭き、そのまま扉を開ける。変態?仕方ないじゃん俺の着替え鞄の中なんだしさ。
シズちゃんはきっと初めての女の子並に驚くかと思いきや、本人は寝ているようだった。なんだ、つまんないの。
着替えるより先に、シズちゃんの元に寄ってみた。

なんか…ムラっと…きた。全裸で人の寝顔見て欲情なんて変態以外の何者でもないけどね!シズちゃんにだけだよ!ラブシズちゃん!
気付いたら布団を捲ってシズちゃんの隣に潜り込んだ。朝起きたらどんな反応するだろう。ちょっとからかったら可愛い顔して驚いてくれるんだろうなあ楽しみだなあ楽しみだなあ!そう考えながら瞼を閉じた、時だった。

髪を触られ、耳元で俺の名前を囁かれたのだ。

「っシズちゃん!?」

「いざ…や」

シズちゃんの方を向くと、気だるそうに瞼を開けていた。ヤバいバレた投げられる。身一つでぶたれたら服を着てる以上に痛いだろうな…。
そう考え、俺はきゅっと瞼を閉じたが、シズちゃんは俺を投げるどころか、
抱き締めてきたのだ。
まだ、寝ぼけてるのかな?

「ん…もうっシズちゃんってば…ぁ」

ぎゅうぎゅうと抱き付いてきて可愛すぎる。あまりにも可愛すぎたので頬に音を立ててキスをした。シズちゃんは 擽ったそうに身じろぎ、そのまま瞼を下ろす。え、寝るの?

「シズちゃん起きて!俺もう我慢出来ないよ!俺と一つに…て寝るなあああ」

とうとう寝息が聞こえてしまった。本当に寝ぼけてやがったんだなこいつ畜生死ねばいいのに嘘だよ愛してる。
シズちゃんにホールドされたままだが、ギラギラに目覚めてしまったこの身体をどうにかしたい。

「生殺しかよ…」

よし、こいつの身包みを剥いでやろう。自分が起きた時に俺と一夜限りの過ち的な事をしたと勘違いすれば良い。俺を置いてけぼりにした罰だ。
俺はシズちゃんの体を堪能出来るわけだし、シズちゃんを驚かす事も出来るわけだし一石二鳥だね。













「いざや…!?」

朝5時。
予想通り、俺はシズちゃんの焦り声で目が覚めた。

「俺、俺は…」

俺がそれらしい事を言えば酷く動揺し始めるシズちゃん。
ふふふこの様子だと勘違いしてるな。
残念ながら君の初めてはまだなんだよ。まあその内俺が奪うけどね。
シズちゃんは戸惑いながらあたりをキョロキョロと見回して、髪をがしがしと掻く。それ、困った時の癖になっちゃったね。

「シズちゃん…おはようのキスは?」

「…っ!!」

「わふっ」

目が合った途端、枕を顔面に押し付けられる。
手で退けた時に見たシズちゃんの顔が、有り得ないくらいに真っ赤でドキドキした。可愛すぎる。

「手前…調子のるんじゃねぇよ…嘘付いたな」

「………あはは、…なんで」

「嘘付いてる顔、だ」

バレてしまった。ちょっと予想より早くないか?俺のポーカーフェイスはシズちゃんには効かないのか?妙に鋭いとこあるんだから。野生の勘って奴?ワイルドだね。そんなシズちゃんもカッコ良くて好き。

シズちゃんは起き上がり自分の上半身の服を見つけだして着ていた。

え、怒らないの?物投げてこないの?

期待しちゃっても、いいの?


そんな思いを抱えながら、俺もずっとこのままでも仕方ないので、とりあえず起き上がり布団を退けた。あ、着る前に顔洗いたい。

「ちょ、まっ」

「何」

「早く着替えろ!」

「えー。いいじゃない折原臨也の裸体なんてそうそう拝めるものじゃないよ。いいよーシズちゃんになら触られても」

「だぁれが触るか!!」

寝てる間自分が何したか覚えてないのか。無自覚むっつりDTさんめ。

「…とにかく、早く着替えて来い。目に毒だ」

「欲情しちゃう的な意味で?」

「吐き気を催す的な意味で」








(昨日の臨也は幻だったのだろうか…)









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臨静すぎる…