8 「今日は国際通りで自由時間か…臨也に静雄!!どこ行く!?僕的にはセルティのお土産を買いに行きたいな!」 「別にどこへでも良い」 「あ!ドタチーン!俺たちと一緒に行こう!」 「え」 「ドタチン!あれ買って!パインちゃん!」 「俺が金払うんかよ!」 イライライライラ 俺は先程から原因不明のイラつきに苛まれている。普段は臨也を見るだけでイラついているが、それとは違うイラつきだ。どう意味だって?んな分かってたらこんなイラつかねえっつの。 「まあ、抑制係がいて良いじゃない。僕は安心して買い物が出来るよ」 「ああくそイラつく…」 「…静雄は妬いてるのかな?臨也が門田と仲良しで」 「違ぇ!」 とあるお土産屋。 臨也は門田にベタベタひっついているのを視界に捉えた。それだけでこのイラつきが生じる。今すぐ標識を引っこ抜いて2人を引き裂きたいぐらいイラついてる。 それが嫉妬なんて信じたくねえけど…。 いつも俺んとこばっか来るあいつが、なんで門田に…。 「あああくそ!!」 「ぎゃあー!ごめんなさいごめんなさい僕の思い違いですね!嫉妬じゃないですね!だからおろして静雄さああん!」 気付いたら新羅の頭をわし掴みにして持ち上げていた。 「おい臨也、静雄が怒ってるぞ。またお前何かやらかしたのか」 「え、別に何も…それよりもさ…」 2人はそのまま店の奥に進んでしまい、ついに俺の視界に入らなくなった。うぜえ、なんだよあいつ。 ぶつけようのない怒りを、試食コーナーで暴食する事で晴らそうとしたら、新羅に止められた。 「傍迷惑だから止めようよ静雄」 そうこうしている内に、昼飯時になってしまった。しばらく経っても俺のイライラは治まらず。 「はいはーい!お昼ご飯はタコライス食べたいです!」 「…?タコライスってなんだ?」 「沖縄の料理で、ご飯にタコスを乗せたものだよ。僕は沖縄ソバ食べたいなあウドンみたいなんだよねー」 「沖縄料理扱ってるお店って何処かなあ?あ、あそこはどう?シズちゃんも良い?」 「……………」 そう言って入った沖縄料理専門のレストラン。絵画や置物も沖縄っぽく、机の前に座布団に座るタイプの雰囲気の良いレストランだった。 店員に隅の席を通され、俺が壁際に座ると臨也は隣に座ってきた。因みに俺の前が新羅で、その隣…つまり臨也の前が門田。 適当に注文して、予想してたより美味かったタコライスとやらを食って、これまた予想してたより酸っぱくないシークヮーサーのジュースを飲んで、臨也のお得意のトークに花を咲かせてる(俺は相変わらずイラつきながら聞くだけ)途中、 「…あ、俺便所行ってくる」 門田が席を立った。 「いってらー」 「ああ待って、僕もトイレ」 続いて新羅も。 「2人ともツレションする程の仲だったの?」 「なんだそら」 門田と新羅がトイレに向かってしまった。 つまり、この場にいるのは俺と臨也の2人きりだ。頬杖をついてスプーンを弄っていると、臨也は俺に視線を向けた。 「……今日はいつもより不機嫌だねシズちゃん」 「あ?」 「まあいいや…携帯貸して?」 「は?」 そう言いながら俺のポケットを探り携帯を取り出してしまう臨也。謎の行動に戸惑っていると、臨也も自らのポケットから何かを取り出す。 「…何してやがる」 「じゃじゃーん!」 俺の黄色の携帯に、黄色のストラップが付いた。丸いガラスのような物を銀色の縄で括ったような…。 「なんだこれ」 「ちゅら玉ストラップっつったら沖縄のお土産代表だよねぇ。まあ貰って貰って」 そう言って臨也は自分のポケットから黒の携帯を取り出した。それにぶら下がっている赤色のそれは、 「シズちゃんとお揃いなの」 「なっ……」 「あはは、照れちゃって可愛いなあシズちゃんは。 ……俺あんまり贈り物とかセンス無いしードタチンにちょっと頼んじゃった部分もあるけど…あ、安心して。これ俺とシズちゃんだけだから。新羅には拗ねちゃうから内緒ね?」 人差し指を唇に当て、俺を見つめた赤色の瞳に、すげえイラつくし、ぶん殴りたくなった。 なのに、心臓が苦しいような、痛いような。どうして。 「静雄の視線がすげえ痛かった…本気で睨み殺されるかと思った」 「どんまい門田。僕なんか日常茶飯事だから。常に殺されかけてるから」 「…お前も大変だな」 「うーん…そうでもないよ?」 「はぁ…?」 |