bun | ナノ




おめでとう、君に愛!


朝起きたら、“また”臨也が俺の隣で寝ていた。

「んー…シズちゃんおはよー」

全裸で。








「!?」

「………」

思わず飛び起きてベッドから降りる。良かった、今回は俺はちゃんと服を着ている。
色々と突っ込み所はあるが…とりあえず何か喋って怖いから!

「いっ…いざ、臨也…?」

「……なんで」

「へっ」

「なんでシズちゃんは…」

上半身を起こし、布団から右脚を出した。うおお見てるこっちが寒い。普通に服を着てる俺ですら寒いのに。ちょっと早く服を着るんだ臨也。

「……なんとも思わないの!?」

「いや…とにかく寒そうくらいしか…」

「寒いに決まってるよ!」

「じゃあなんでそんな格好なんだよ!馬鹿か!知ってたけど!」

「っ……シズちゃんのばあああか!」

「はぁああ!?つーかベッドから降りるな部屋から出るな全裸でぇええ!!」

どこかに行こうとする臨也を慌てて追いかけて部屋に戻す。両親は仕事かもしれないが弟がまだいるというのに野放しに出来るか。
ドアノブを掴んだ臨也の腕を掴み上げて再びベッドに放り込んだ。

「服を着ろ!せめてパンツ履けよ!」

「持ってきてない!」

「ちょっと意味が分からない」

歩く公害に布団を被せ、その上から俺が覆い被さってとりあえず落ち着くのを待った。ベッド下には臨也の衣服であろうものが落ちてあり、窓の下には俺のではない靴が新聞紙の上に置いてあった。
……うん、俺が寝てる間に何があったかなんて容易に想像できますね。

「………シズちゃんのバカ…」

「さっき聞いた。しかも今バカなのはどう見てもお前だろ」

布団から顔だけ出して俺を見る臨也の目は僅かに潤んでいた。なんでだよ俺がまた悪いんかよ。

「…やっぱり俺に魅力が無いんだ……」

「……は?」

「俺の肢体に魅力が無いから…」

愚図りだすなアホ。なんでそんな話になってるんだよ。誰だって朝目が覚めたら隣に恋人が全裸だったら驚くしあんなに錯乱されたら困るに決まってるじゃねーか。ソウイウつもりだったなら、どうしてこんな姿で来た。それで発情するならよほどの馬鹿か変態だ。……そうだ奴は変態だった。なら仕方ない。

「ねえシズちゃん…俺たち付き合ってもう5ヶ月だよ…いくらシズちゃんが純情DTでもやっぱりそれなりの段階はもう踏んでも良いわけじゃない?」

「かと言って、俺がこんなシチュエーションで良いと思ってたら間違いだからな…」

「…もしかしてシズちゃんは脱がす方が好き?」

「っ………朝っぱらから話す内容じゃ、ねえ!!」

「はふっ」

ニヤニヤしてる気持ち悪い面を枕で叩きつけてやった。

「ねーシズちゃーん」

「うるせえうるせえうるせえ!!」

「聞いてってば!なんで俺が今日ここに来たかわかる?」

枕をどかせ、布団から顔だけ出ている臨也を見て、思わずぶん殴りたい衝動に駆られたが、思い留まった。

「はあ!?………あ」

「へへへー」

ふと思い起こせば今日は1月28日。
俺の18回目の、

「誕生日おめでとー!シズちゃーん!!」

「ぎゃー!出てくるな!服を着てからにしろって言ってるだろ!」

だから今日に限って急に部屋に入ってきたのか…じゃなくてだな、何納得しかけてるんだよ俺。納得しようもないだろうがよ。
布団を雪ん子みたいに被った臨也は、俺の胸に抱きついてニヤニヤしながら俺のことを見上げる。

「だって18歳になったからR指定解禁ですし。俺のことR指定にしちゃって良いですし」

「ただし高校生を除く、だろうがよ」

「やだーシズちゃんなんでそんなこと知ってるのー?でもシズちゃんなら私服着てればバレないよー」

「なんの話だっああもう黙れっ」

「うぎゃああっ痛い!!」

額をデコピンすると雪ん子臨也はさらに丸まって額に手を当ててのた打ち回っていた。はははざまあみろ。そう思いながら優越感に浸ってた直後、



「兄さん、騒がしいけど何かあっ………」

「はっ……シズちゃんの弟君!?イケメンっ!どうもシズちゃんがいつもお世話に…」


1月28日。俺の人生が爆発的に壊滅した瞬間だった。



おめでとう、君に

朝、兄の部屋が騒がしいと思って部屋を覗いたら、全裸の知らない人(男)と兄が同じベットで寝ていたってどうよ!?




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こういうのは描いてて楽しいです←
しかしここまでくると…犯罪じゃないか…?