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しゅうまつがやってくる!


※日記ログ
※「しゅうまつがやってくる!」でシズイザパロ
※結局暗い




「シズちゃんおはよー!!」

「おー…臨也か、毎日忙しそうだな手前は」

今日も急いで朝食と詰め込んでランドセルを背負って外へ飛び出す。夏の朝はぎらぎらと熱くて眩しくてだるい。
それでも俺がこんなにも急いで家を出る理由がこの男にあった。
俺がシズちゃんと呼ぶ男は、俺の家の前を毎朝通って学校へ通う高校生。俺と10歳も年が離れてるけど、年齢差だなんて特に気にしたことはない。

「ねえシズちゃん!土曜日開いてる?」

「予定はねぇけど」

「じゃあ土曜日遊ぼう!ゲーセン行こう!」

「またあそこ行くのか。ま、良いぜ。忘れんなよ」

そう言って笑いながら俺を見たシズちゃんの金色の髪がきらきらと朝の日差しに反射して、とても綺麗だった。
ゲーセンで遊びたいなんてただの言い訳で、本当はシズちゃんと一緒にいたいだけなんだけど。

「じゃ、俺はこっちだから」

「うんっまたね」

「じゃーなー」

シズちゃんの左隣をキープできるこの5分間は宝物だった。







「××××××××××」

あっと言う間に1日が終わり、家に帰ってテレビとエアコンを付けた。
テレビの中の偉い人たちが机とにらめっこしている。そんな事しても現実は何も変わらないくせに。知ってることだけ知らん振りしてさ。

世界がどうなっちゃうとか、実感は沸かず、俺はテレビの前の机で紙と鉛筆を取り出す。
これは週末のシズちゃんと遊ぶ時に渡す所謂ラブレター…っていうとちょっと恥ずかしいな、手紙を書き始めた。

「×××××××××!」

「×××××××」

「…………?」

終末がやってくる?そんな事興味ないよ。
「戦争」?「天災」?知らないよ。
セイキマツの大予言もオオハズレだったんでしょ?
シュウマツロンだってきっと、宇宙人?かなんかのイタズラなんでしょ?


それよりも楽しみだな、早く週末が来ないかな!
今度こそ想い伝えなくちゃ!







「シズちゃーん!」




「あれ?シズちゃん…?」








だけどね、シズちゃんは突然どこかに行ってしまったんだ。
オトナたちのヒトコトで、行かなきゃいけなくなったみたいだ。

「シズ…ちゃん…?」

あの制服も金髪も声も笑顔も全部全部全部全部肌から離れていく喪失感だけが、俺を伝った。

終末がやってくる。
そんなこと本当に興味なかった。
週末がやってくる。
どうしよう気持ち、伝えられなかった。







抑えきれない想いを、たくさんの手紙にした。
出来るだけの愛を両手いっぱいに詰め込んで。
送る相手?知らないよ。
どれだけ書いてももう伝わらないんだよ。シズちゃんはここにはもういないんだよ。
分かってても止められなかった。
ねえ、そこの君、愛の詩ひとついかがですか?…なんてね。これで世界のどこかにいる誰かが笑ってくれれば良いのにな。
ああ!それならいっそのこと、世界中にバラまいてやろうか!?


「………ふっ…」

しゅうまつがやってくる。
君はもうやって来ないのにな。

「ひっ…ぅ、…シズ…ちゃん…っ」


たとえしゅうまつがやってきても、もう二度とあの笑顔は戻ってこないんだ。

だから、しゅうまつがやってきても、もう二度と来ないで。

「…ばか…だいっきら…い…!!」












戦争に駆り出されたシズちゃんと小さな臨也のお話でした。