bun | ナノ




「がんばった」のご褒美?


※20000HIT企画
※青アイ設定シズイザでスポーツテストネタ




スポーツは苦手だ。
シズちゃんとの追いかけっこは好きだけど…、
今日のスポーツテストは、嫌いだ。

「というわけで、俺はサボります」

「体育の先生が2年間とも臨也はサボってるからって今年は強制参加させるつもりだって」

「やだやだ!やらない!」

「……全部真剣にやったら静雄がちゅーしてくれるって!」

「!!やります!」

「俺を売るんじゃねえ!!!」



そんなこんなで大嫌いなスポーツテストが始まった。1日かけて握力、長座体前屈、上体起こし、シャトルラン、反復横飛び、50メートル走、幅跳び、ハンドボール投げの8種目をクラス行動しながら計測していくというイベントだ。ぶっちゃけ面倒くさい。勉強はやらなければいけないのは分かるが、スポーツテストなどやる意義など見当たらない。将来のためにもならない。生活するために運動なんてちょっと走れれば問題はないと思うのだが。
だけど…

「………」

「んだよ、絶対しねぇからな」

「シズちゃんが俺にちゅう…」

「おい聞いてんのか」

これはもう頑張るっきゃない。





1、握力


基本的に計測の順番は出席番号順…つまり名前順。だから、俺とドタチンと新羅は名字がたまたま隣通しなので俺が5番ならドタチンが6番新羅が7番なのだ。
シズちゃんとは離れちゃうけど。

「臨也いくつだった?」

「両方とも40」

「予想以上にあるな」

「うげ…」

新羅なんで今嫌そうな顔したの。
まあそれは置いといて、俺は次に計測するドタチンに握力計測機を渡して、並びながら記録表を見ているシズちゃんの元にかけよった。

「シズちゃんって握力計れるの?」

「毎年壊してますが何か」

なら本気でやる必要もないと思うんだけどね。
そういう素直馬鹿なところも大好きだけど。



2、長座体前屈



「あああああ痛い痛い痛い痛い痛いやめてええいざやあああっ中学の時のアレをバラすぞごるぁあああ!!」

「負けるんじゃない!新羅ならまだいける!もっと熱くなれよおおお!!それとアレは内緒な!絶対内緒な!!」

「……馬鹿同士で何やってんだ」

「順番が回ってくるまでストレッチだとよ」

新羅は体硬すぎだろう。むしろ爪先立ちに届かない方がこちらからしたら謎だ。背中を思いっきり押してあげていたら、ドタチンとシズちゃんが俺たちの元に来た。

「目指せ60センチ!」

「ほへー臨也は体柔らかいんだねえ」

「大したもんだな」

「いつか訪れるシズちゃんとの愛の交わりの為に体は柔らかくしといた方が体位的な意味でっごぶっ」

ちょっと殴る事はないじゃないかシズちゃん!

「キモ…っマジで気持ち悪…」

「今のは気持ち悪いなあ万年発情男が」

「新羅も人の事言えないだろ変態首無し趣味男が」

くそ…新羅め…膝と額がぴったりつくまで押してやる。



3、上体起こし



先に行っておこう。

おれは腹筋が苦手だ。


「シズちゃん…あんまり見ないでね!」

「…?」

ピピー

スタートのホイッスルが鳴ったと同時に1度目の半身を起こした。
平均は30秒で30回位らしいが、そんなにいく筈がない。絶対無理。
いくらシズちゃんに脚を支えてもらったって出来ないものは仕方ない。あ、でも上体は起こせない変わりに違うものが起(以下略)

「はちー」

「うぐうううう」

「…臨也もしかして上体起こし苦手?」

「うるさああああっ」

「きゅー」

語尾が伸びてるシズちゃん可愛い…じゃなくて、隣ドタチン早っ!腹筋神掛りすぎだろ!支えてる新羅の方が飛ばされそうな勢いだよ!

「じゅ…っ!!」

シズちゃん何故そこで微赤らめるの!?分からない分からないよ!俺の苦しんでる姿見て何か目覚めちゃったの!?

(臨也が動くたびにシャンプーのすげえ良い匂いがする…!!)

ふるふると震えてるシズちゃんがまさかそんな純粋な理由で頬を紅潮させてるなんて知らずに、俺の頭の中ではへたれオクテなシズちゃんと鬼畜Sなシズちゃんとどちらに攻められたいか葛藤していた。

結果上体起こし21回。新羅と同じだった死にたい。



4、シャトルラン



シャトルラン…それはどんどんテンポが早くなるBGMをバックに20メートル走を限界まで繰り返す鬼のようなテストだ。
持久力を測るテストなのだが、これは自信がある。だって長時間シズちゃんによく追いかけられてることなんてしょっちゅうあるもん。まあ、シズちゃんには負けちゃうけど。ていうか彼に力で勝てるわけがない。

「今年も静雄は完走かな?」

「200回×20メートルでこれでも完走で4キロなんだけどね。BGM早くなるから意外と出来ないんだよね」

「そうは言ったって臨也だって余裕に100回は越すじゃないか」

「えへへーじゃあ今年はもっと頑張るから頭撫でてドタチーン」

「はは、頑張れよ」

「……そろそろ始まっぞ」

「えっシズちゃんと一緒に走るの!?」

シャトルランは一人走り一人は計測するためのペアを作って行う。まあペアと言ってもこちらひ4人行動なので特にペアなどは決めていない。
だからこそ、どうせならシズちゃんが走ってるところを計測つまり見ていたかったのに!

「うえー」

シャトルランお馴染みのBGMが流れ始め、体育館横に並んだ人たちが一斉に走り出す。ちょっと遅れたけど、直ぐに体勢は元に戻った。

「はあっシズちゃーん…シズちゃーんっ」

「んだよ走ってる時に喋りかけてくんな。疲れるだろ」

「はっ…いや、話しかけてるんじゃなくてっ…シズちゃんパワーを、吸収してるっ…とこ!」
「……………」

「やっ!無視やだー!」

しかもちょっと足早めやがったばか!!
くそ…負けてたまるか!

「おおー…臨也100回目突入したよ」

「相変わらず持久力だけは凄まじいんだな」



5、反復横飛び



「……もう無理臨也助けて…」

「新羅大丈夫?」

「ったく…シャトルランくらいで大げさな…」

「君たちとは身体の構造が違うんだよ…僕は普通の人間なんだよ?ねえ門田」

「ん?なんだ?」

「この人たち嫌い」

「シズちゃーん、新羅が俺達のこと嫌いってぇええ!!」

「暑い寄ってくるな死ね」

「おい、次は反復横飛びだってよ」

「……はあい」

ドタチンが俺の頭にタオルをかぶせ、その上からぽんっと手を置かれる。
なんだか心地よくて無意識にすり寄ってしまった。恥ずかしい。

「臨也が反復横飛びってなんか気持ち悪いよね」

「あは、新羅なんか足首挫いて骨折すればいいのにね」

「こいつらなんで今日はこんなに仲悪いんだ?」

「……いつものことじゃね?」

新羅が酷く疲れているのをよそに、3本のラインの上にシズちゃんとドタチンが立つ。つか新羅俺の肩に顎乗っけないでよ痛いから。

「臨也数えてろよ、俺何回やったか忘れるから」

「はいはーい、ドタチンのも数えてあげるからね」

「両方同時に数えられるもんなのか?」

「新羅潰れてるし、俺しか数えるのいないじゃん」

「はぁ…?まあ、すげえな」

折原臨也をなめて貰っちゃ困る。

(臨也の動体視力…どういうことなの…)



6、50メートル走



「えっこれは出席番号順なの!?」

「番号順の4人で走るみたいだよー」

「………ふん」

一斉にやる種目以外は出席番号順らしい。またシズちゃんと離れちゃうのか。

「シズちゃんと一緒に走りたい!」

「あー…たしかに記録伸びそうだね」

「そういう意味じゃないから!!」

「あー…俺も臨也と走りたかった」

「なに!?シズデレ!?」

「臨也追いかけてる方が足早い気がするんだよな……」

「……!!」

「良かったな、臨也」

そういう意味じゃねえから!と叫ぶシズちゃんの後ろで、学級委員長が並んでくださーいと号令をかける。シズちゃんにしがみついていたら、ドタチンに引き剥がされて、出席番号順へと並ばされてしまった。なんだよドタチン、良かったな臨也って褒めてくれたんじゃないのかよくそー。


「…6秒ジャスト」

シズちゃんと一緒に走ったらもっと早かったもん。




7、立ち幅跳び

「折原臨也、いきまーす!!」

後ろを振り返っても3人は話を聞いていなかった。うわあなんか俺恥ずかしいことした。まあいいや、

「静雄、この砂場5メートルしかないから5メートルで収めるんだよ」

「新羅俺をなんだと思ってる。走り幅跳びじゃねえんだから流石に5メートルはいかねえよ。3メートルくらいだろ」

「いや…それでも普通に凄いんじゃねえのか」

「うりゃあああああ」

「お、臨也とんでるぞ」

ずざあああ、と砂をすべる音と共に俺は着地。記録は2メートルと50センチ、まあ普通の結果だった。2回目を計ろうとスタート地点に戻る。

「本当だ。ていうか、臨也本気で頑張ってるねえ、ふふ、静雄?」

「なんだよ…その目は」

「だって臨也が頑張ったらご褒美にちゅーしてあげるんでしょ?」

「!!」

「な…、そんな約束したのかお前…!」

「ち、違…っ新羅が勝手に臨也に!」

「とおっ!!」

「あ、また臨也が飛んだ」

2回目の記録も2メートル50センチだった。記録を書いて3人のところに駆け寄ると、靴の中に違和感を感じた。

「ただいまー…、うえー…砂が靴の中入ってるぅ…あ、次ドタチンだよ」

「おぉー」

靴を片方脱いで、着地したときに入った砂を掻き出しながらシズちゃんを見ると、なんだか少し焦ってるような気がした。



8、ハンドボール投げ



「37メートルって…よく飛ぶね」

「臨也が腕の力ないんだろ」

「…あるし」

「お前は出来るのと出来ないのが極端だよな…」

「ドタチンのばかーっ俺頑張ってるのに!」

「はは、そうだよな、ごめんな」

「う…」

既に計測が終わった俺とドタチンは新羅がハンドボール投げをしているのを横で見ていた。ちなみにシズちゃんは後ろの方でちゃんと並んでいる。こっち見てくれないかなーと視線を送っているんだけども、なかなか気付いてくれない。
あ、新羅終わった。

「おつかれー」

「15メートル…仕方ないんだ。これは手が滑ったんだ」

「誤魔化そうったって無駄だぞ?」

ちらりとシズちゃんがこちらを見たと思ったら、すぐに視線を逸らされた。話にも入ってこないし、どうしたんだろう?


因みにシズちゃんの記録は50メートルだったよ。いつも物を投げてるシズちゃんにとっては一番の得意分野だっただろうね。






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全ての計測が終わって、あとは教室に戻って記録用紙を提出すれば今日のスポーツテストは終了だ。長かったなあ、疲れたし。俺久しぶりにこんなに頑張ったよ。あれ、なんで頑張ってたんだっけ…あ、そうだ。

「どう!?新羅、俺頑張ったよ!シズちゃんからちゅーくれる!?」

「うん頑張った頑張った。静雄は好きにちゅーしていいよ」

俺と新羅が騒いでる隣でドタチンが溜め息を吐いた声が聞こえたが気にしない。
記録表をばさばさとシズちゃんに向かって振る。ハンドボール投げの記録を書き終えたシズちゃんが俺らの元へ戻ってきた。

「見て見て俺Aランク入ったよー!シズちゃんはどうせSランクなんだろうけど!俺頑張ったんだってばー!だからっちゅーし…」

「っだ、誰が…っするか…!!」

自分の記録表を見つめていたシズちゃんが真っ赤な顔を上げた。

「酷い…俺このために頑張って来たのに…」

若干忘れかけていたことは内緒である。

「…………っ〜〜!!」

そうか、シズちゃんはずっとその事を意識してたから後半はあまり話しかけてこなかったんだ。可愛すぎる。

「…おい、」

「…ふ?」

シズちゃんはきょろきょろと辺りを見回してから俺の腕を掴んだかと思うと、ぐいっと引っ張られて、

頬に、キスされた。


「………あう?」

「……早く行くぞっ」

先を行くシズちゃんの耳は真っ赤に染まっていて、俺はどうしようもなく愛おしさを感じてしまったのだ。
それはもう、疲れが全て吹っ飛ぶくらいに。









「おーおー、見せ付けてくれるねえ…おやどうしたの門田くん?」

「いや、別に…なんでもないが」

「あはは、嫉妬?」

「違…っ」

「まあ、頑張ってね。お父さん」







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カイリさまへ!
学校行事なシズイザでしたー!が、学校行事ですかねこれ…。
スポーツテストネタはずっとやってみたかったので、凄く楽しかったです。楽しすぎてテンションが可笑しい文ですみません。
シズちゃんは臨也にちゅーしたかったんです本当は←

リクエストありがとうございました!!