幸せ臨界点、只今到着 ※20000HIT企画 ※青アイ設定シズイザ 席替えで、 隣になれなかったのだ。 「廊下側とか最悪……」 「それくらいで最悪と言われてもなぁ」 「それくらいって何!俺にとってはかなり…それこそ席替えは俺のシズちゃんラブライフにおいて重要なイベントでもあるのに!」 「そういうものなの?」 「新羅だってもしセルティが自分と同じクラスだとしたら、席は隣同士がいいでしょ?それと一緒だよ」 「ああ…そういうこと。つまり臨也は、静雄の隣の席になりたかったわけだ」 「……悪いか」 「いや全然?」 昼休みの屋上、俺と新羅はフェンスに寄りかかって弁当やらコンビニのパンやらを食べていた。ドタチンは委員会の仕事で、シズちゃんは先生との二者面談。いや別にシズちゃんが特別悪い事をした訳ではないよ。3年になると色々大変だからね。進路が。まあシズちゃんには俺のお婿さんになって貰うから色々頑張ってもらわないと。 そして二者面談を次に控えた新羅は俺と、随分と殺伐している恋愛相談(?)を繰り広げていた。 「じゃあさ、臨也。静雄の隣の席、交換して貰えば?」 それくらい君なら朝飯前でしょ?とタコさんウインナーを食べながら新羅は笑う。 「いや、今回はちょっと…」 「おや珍しい。臨也が引き下がるなんて」 「シズちゃんの隣、女の子なんだよね…」 「ふぅん?」 咀嚼をしながら新羅はニヤリと口角を上げた。ちょっと今の気持ち悪い。まあそれはともかく、 このクラスになってから初めての席替え。どんな席の番号をひいてもシズちゃんの隣の席になろうと思っていたた。それはつまり、シズちゃんの隣の番号を引いた人と交渉して(金銭的な意味で)自分がひいた席の番号と交換してもらうということ。 しかし窓側後ろのシズちゃんの隣の席は女の子だったのだ。名前は…まあいいや、全てのくじ引きが終わって俺が何の有無も言わさずにシズちゃんの隣へ机を運ぼうとしたら、その子があろうことか俺よりも早く机をシズちゃんの隣に持ってきた。 「平和島君!宜しくね!」 屈託の無い、愛情いっぱいの笑顔つきで。 「あああああなんだあのくそ女あああムカつくううう!!!!」 「おー…だいぶヒスってんなぁ…」 「はっドタチン!!」 「委員会お疲れー」 「おう、静雄は?」 「あああああああ」 「二者面談中だよ。あと臨也うるさい」 ドタチンは苦笑しながら席替えの話だよな、と言って俺たちの前に腰を下ろす。 「だって頬を染めてのあの笑顔!ちょっと可愛いじゃないか!なにあの子。自分の可愛さを知って利用する子だよ全く末恐ろしい女だ」 「臨也だって十分あくどいことやってるのに何を今更」 「どうするんだよシズちゃんが靡きでもしたら!しかもあの女に話しかけられただけでシズちゃん、『お、おう』ってちょっと恥ずかしそうに返したんだよ!!」 「どこまで一部始終を見てたんだよ…つか、普通に頼み込めば交換してくれるんじゃないか?」 「あれはきっとやんわりと断られるタイプだな。あいつ絶対シズちゃんの事好きだ。金出しても変な理由並べて絶対シズちゃんの隣から離れないよ。女って男より怖いからやだねぇ…。シズちゃん女の子慣れしてないから…どうしよう」 「僕はそこまで考える臨也の方が怖いかな」 「だって…!!」 きい、と屋上の扉を引く音が聞こえた。俺は口を紡ぎ、音の方へ振り向く。だって、 「シズちゃん!」 俺の大っ好きなシズちゃんが来たんだから。 「新羅、次お前の番だって」 「はいはーい。じゃあ行ってきまーす」 「いってらー」 新羅と入れ替わりに、シズちゃんは俺の隣に腰かける。ドタチンはシズちゃんを見てけらけらと笑った。ドタチンが笑うのなんて珍しい気もする。 「あ?なんだよ門田」 「いや、さっき席替えの話をしててさ」 「あっドタチンばかっ」 「静雄が隣の女に靡くんじゃないのかって臨也が心配してたって話」 あああなんで言うんだよドタチンのバカチンっ! 「は?隣の女ぁ?」 「そ、…まだ名前覚えてないんだけど、あの茶髪の」 「あー…あいつか、」 やだやだやめてよ。シズちゃんがあいつ可愛いよな、とか言ってきたらどうするんだよ!俺凹んで学校来れなくなっちゃう! 「二者面談終わってここ来る時も“平和島君いつもどこでお昼食べてるの?”って聞かれたんだが、…正直、ああいうの苦手だ」 「!!」 「ほー」 「上手く言えねぇけど、チャラついてるっていうかあんな感じの女駄目なんだよ」 「…静雄は純粋なんだな」 「シズちゃんはギャル系より清純派だと…!?」 「良かったな臨也ー靡かなさそうだぞ」 「はうっ!?ばっドタチンってば!」 ドタチンは微笑みながら俺の頭を撫でた。ドタチンに頭撫でられるねは大好きだけど、今は嬉しくない。 「は?靡くって何?あの女に?」 シズちゃんもいちいち反応しないで! 「そうそう、つまるところ臨也が静雄と隣の席になりたいけど、あいつがいるからどうしようって話」 ドタチン、君それが言いたくて仕方なかったんでしょ。このチクリ魔。 言い返したくても返す暇もなく。 シズちゃんは一瞬ぽかんとした表情でお昼ご飯であるサンドイッチを咀嚼していたが、俺を見るなりくすりと笑った。 「じゃあ俺が臨也の隣に行けば良いのか?」 「え」 「あっ違っ、その、あいつより手前の方が気ぃ遣わなくてすむし、つかノミ虫相手に遣う必要なんざねぇし、」 頬を掻いて、少し視線を泳がせて。なんて典型的な言い訳の仕方。 「あの女に話しかけられるより、手前の方がよっぽどマシだって…何で顔赤くなっつんだよ気持ち悪ぃ!!」 「要するに、俺がいい…と!?」 「!!」 可笑しいよね。さっきまでのあの女に対する憎しみが一気に吹っ飛んじゃうくらい、シズちゃんの言葉は俺の心を左右するんだよ? 幸せ臨界点、只今到着 シズちゃんの隣の席ゲットオォオオオオ!!! --------- さくみさまへ! 青アイ設定のシズイザということで、一度はやってみたかった席替えネタを…。臨也は完璧に恋する乙女状態です。ちゅ、中学生かコイツら…。 リクエストありがとうございました!! |