bun | ナノ




逆転世界で君と本音


※20000HIT企画
※青アイ設定シズイザ
※臨也が女の子になっちゃいました注意







「見て見て!シズちゃん!」

「あ?なんだよっ…ん!?」

「俺、女の子になっちゃったあああ!!」

「!?」


そう言いながら一人の『女』が俺の元へ走ってきた。
あ、あれって…!?







「朝起きたら声高いし背低いし胸もあるしある筈のものが無くなっていた!」

「はあ!?」

昇降口の下駄箱で上履きを取り出しながら、素っ頓狂な声を上げたのは俺だった。
当たり前だがこんな反応しか出来ない。朝、俺はごく普通に目を覚まし、ごく普通に朝飯を食べ、ごく普通に登校してきた、今日も平々凡々な日常が繰り返されるとばかり思ってきたのに、ていうかそれを望んでいたのに。

「てめ…っ臨也?」

「うん?臨也だよ?」

俺の目の前で、臨也?らしき『女』が自分の制服(セーラー服)の袖の裾を捲り上げ興奮しながら語っていた。

「ほ、本当に?」

「当たり前じゃない!俺じゃなかったら他に誰がいるっていうんだよ!」

そうは言っても見た目は完璧に女そのものなのだ。これが臨也じゃない違う女といっても特に不思議ではない。性格や喋り方は…まあ臨也だが。

「どうして…?」

「それが!分からないだって…。目が覚めてたら女の子になった…てへ」

てへじゃねえんだよ可愛くねーことすんな。なんで女の姿になったからって女ぶらなきゃいけねぇんだ。
そこまで考えて、俺は一つの可能性を考えた。こいつぜってえこの状況楽しんでる。

「だからってわざわざ制服まで女にするこたぁねーだろ」

「えー、でも自分の服大きかったからな…」

そもそもどこからそのセーラー服持ってきたんだ…。家族にしてもこいつには小学生の妹がいるだけで姉はいない筈…。まあ、こいつに細かいこと聞いても良く分からんことばっかだし、やめておこう。

「ちゃんと下着まで女の子にしてきたんだよー」

丈の短いセーラー服を捲り上げようとする臨也に、持っていた鞄を振るう。

「ばっ、変態!」

「ちょ、酷くない!?俺女の子だよ今!」

「元は男だろうが!!」

なんでそこまでする必要がある!?こいつもとから女装趣味だったのか!
?女々しいとは思っていたが、ここまでとは…。

「あははっシズちゃん顔赤いよー。あ、もしかして、見たことなかった?女の子のパ」
「死ねええええええ!!!」

俺は近くにあった掃除用具のロッカーを投げると、臨也はいつもの様に避ける。俺の投げたそれは中身が出ることもなく、扉を下にして派手な音を立てて落ちた。臨也はそれをひょいと身軽に飛び越える。それもいつもの行動なのだが、女の姿の今、というよりセーラー服を着ている今、ジャンプした時のスカート丈が非常に危なかった。いやいやそんな事を気にしてる必要なんかないのだ。俺は逃げ出した臨也の後を追う。くそ、女の姿になったからか分からないがいつもよりちょこまか動きやがる。階段を笑いながら駆け上る臨也の声も、いくらか高い気がする。

「あははははウブ過ぎる!!もう可愛いシズちゃ…っと、うわっ」

「!」

あろうことか、臨也は階段で躓いてしまった。

「いざ…っ!」

「はふっ」

何を思ったか、俺は急いで階段を駆け上がり、落ちてきそうになる臨也を後ろから支えた。げ、予想以上に軽くて小さい。
ていうか慌てすぎて後ろから抱き着いてるみたいになっちまった。別に狙ったわけではない決して。

「おお、さすが…!ありがとう…!」

って、あれ、そもそもなんで支えてしまったんだろう俺。ノミ蟲なんかそのまま落ちて頭打って死ねば良かったのに、怪我とか、特に無かったみたいで何故か酷く安心してしまった。

こいつ最近しょっちゅう落ちてる気がするのは気のせいだよな。大半が俺のせいとかそんなん違うよな。

腕を回した臨也の身体は、やはりいつもより細かった。男のままでも細いとか軽いとか思ったのに、こんなに細かったらちょっとした事で折れちまうんじゃねえか。それこそ俺がこんな風に腕を回してる状態で少しでも力を強めたら。
そんな事を考えていると、臨也はけらけらと笑い出した。なんだ普通に元気じゃねぇか。

「うへ、シズちゃん君今どこ触ってるか分かる?」

「は?」

「残念ながらブラはつけてないんだよねぇ。あの束縛感は俺には無理だった。でも、無いとちょっと邪魔だなあ…女の子って大変だよ」

「……な…!」

どうりで手の平が柔らかい感触だと思ったらっ……て何考えてんだ俺!!
臨也の言葉でようやく気付いた俺は、急いで腕を解いた、ら、

「っうおあっ!!」

「!?」

勢い余って俺が段差を踏み外して階段から落ちた。
盛大な音を立てて、踊り場に転がる。骨折とかはありえないだろうが、地味に痛かった。

「…わ、わ…ごめんね!」

ぱたぱたと階段から降りてくる臨也。あ、見え…た。おい手前、苺柄とか高校生でそれはキツいだろ……。じゃなくてじゃなくて!!
臨也は仰向けで根っ転がってる俺の前でしゃがみ(前を隠せ前を!!)男の時とたいして変わらないニヤニヤした気持ち悪い表情で俺の顔を覗いていた。

「はは、シズちゃん今見たでしょ?えろー」

「違、その、うっせぇ!」

「どうだった?初めてでしょ?」

うぜえ悪いか死ね!マジ死ね!
そう悪態を吐こうと口を開くが、それは階段を駆け上ってこちらに近付いてくる音に意識が向き、俺の罵声がこの変態に向けて飛ぶことは無かった。

かつかつとリズム良くこちらに上ってくる奴は、踊り場で寝っ転がってる俺と一番に目が合う。

「……あれ、静雄どうしてそこで寝てるの?」

「新羅…」

俺に駆け寄ろうと階段を急いで上り始めた新羅は、困ったように俺を見ていた。大方また怪我したのー?とか言うつもりだったんだろう。しかし臨也に視線を移した途端、新羅の目が輝いた…気がした。

「ん?…って君臨也かい!?」

「そうだよ朝起きたら女の子になってた臨也だよー。今は臨美ちゃんですけど」

「一体なんで…そんな、性別転換なんて奇々怪々な事あるものなのかい?」

俺は新羅に手を惹かれ、ようやく体を起こした。そして新羅も鞄を肩に引っ掛けたまましゃがみこみ、俺たちと視線を合わせた。踊り場で何を話し込んでるんだ俺たちは。

「仕方ないから女の子として生きている真っ最中だよ。もし戻らないならシズちゃんと最強の子孫を御家の為に残そうと思う」

「逆セクハラも今は訴えればどうにかなるよな新羅」

「はは、静雄はそれに困っていると。まあ困らない方が可笑しいよね。なんで臨也はこの状況を楽しめるんだろうね」

「いや別に完璧に楽しんでるわけじゃないさ。不慣れだからだろうけど結構面倒なとこもあるし…でもこれ新羅のせいじゃないなら誰が…」

臨也は立ち上がり、辺りを歩き始めた。こいつって話しながら歩き回る癖あるよな。目で追うのいちいち面倒なんだが。あ、じゃあ追わなければいいんじゃん。

「え、僕疑われてたの?」

「どうせこういうのは身近にいる変態な天才君の仕業だと相場が決まってる。二次創作であるあるじゃないか」

びしっと天井に向け人差し指を突き立てる。

「は?なんだ?にじ?」

「静雄は知らなくて良いことだよ。…それよりも」

新羅は立ち上がり、こほんとひとつ咳払い。臨也の小さな両肩を掴んだ。

「臨也のその不思議構造が凄く気になる。是非うちに来て開かせて欲しいんだけど」

何を、なんて聞かなくてもわかる。先ほどからの臨也に対するこのキラキラした視線、間違いは無かった。
医者の息子で解剖癖(?)がある新羅はこの特異な身体を調べたくて調べたくて仕方ないんだろう。まあ馬鹿変態だから仕方ない。臨也とまた違う変態だよなこいつ。
さあ、と臨也の顔色が真っ青になった。

「ぎゃ、ぎゃーシズちゃん助けて!!変態がいる!」

同属嫌悪ってこういうことなのかな、あれ微妙に違うかもしれない。いやいやそれどころじゃない。だって今臨也が新羅に…、

「やっぱだめ?」

「「だめに決まってるだろ!!」」

うわ、こいつとハモった!気持ち悪っ。

「別に臨也如きで変な気起こすわけないじゃん。俺が興味あるのは見た目じゃなくて中身だから」

「いやー!新羅が中身って言うとやけに生々しい!!」

「そ、そうだ、臨也なんて開いてもなにも面白くないぞ」

「そうだよ!俺が開くのはシズちゃんの前でだけなんだから!」

「開く違いだよ臨也!一応女の子なんだからそういうの言っちゃ駄目!あーもう分かったから、せめて採血でも」

「だめだ!」

「うっなんで静雄まで止めるの!?」

新羅が涙目で俺を見る。つかなんで泣きそうになってんのこいつ!?そんなに臨也を調べたいのか。根本から性別が変わるなんて、確かにおかしな現象だとは思うが。

「べっつに…気に食わねーだけだから…」

「ほ?」

「おやおや?静雄ってもしかして、女の子には優しいのかな」

「そう、いう意味じゃ…ねー」

そこで否定して、俺はしまったと冷や汗をかいた。
新羅がニヤリと口角を上げ、少し後ずさりをして俺と距離をとった。俺に殴られると思ってるのか、よし殴る。

「はは、分かってるよ!!静雄、臨也の事大好きだもんね!僕に触られるの嫌なんだよねえええええ!」

そう言って、新羅は早足で逃げ出した。

「なっ死ね馬鹿!!んなわけあるかああああ!」

こいつこんなに足早くねえだろなんでもういないんだよああああくそ!顔熱くなったじゃねーかどうしてくれる!

「はっ臨也、別に俺…!?」



既に臨也もそこにいなかった。









「なななななに言ってるの新羅ってば!ちょ、それ詳しく!」
「…臨也?そんなに走ってどこ行くんだ?って、あれ?」
「!!ドタチーン!今俺新羅追いかけてるからまってて!」
「ん?臨也…?」

ちなみに寝て起きたら男に戻っていたそうだ。











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朔さまへ!青アイ設定でシズイザ♀です!何故臨也が女の子になったかはファンタジーなので突っ込まないでやってくださひ←
胸押し付けとパンチラと意識して顔熱くなるシズちゃんとのことでしたが、無駄に新羅が出張って上手くまとめられませんでしたうおおおグッダグダで申し訳ないですorz やりたいことを全て詰めた結果でした…ああもう書き直しうけつけますっ!!
門田さんとか苦し紛れの最後…。

リクエストありがとうございました!!