bun | ナノ




最強ツンデレナイト


※20000HIT企画
※青アイ設定シズイザで告白話?




最近臨也が、絡んでこない。
可笑しい。いつもなら抱き付いてきた挙げ句キスしようとしてくるのに。笑顔でぴょんぴょん跳ねるように俺につきまとってくるのに。可笑しすぎる。

「…おい臨也」

「あ、シズ…ちゃ…っ………ごめん、俺トイレ行ってくる」

あからさまに、俺は臨也に避けられてるようだった。


「いざ」

「ああっそういえば購買にプリン並ぶ日じゃん!ごめんねまたあとでっ」


「おいこら」

「あ、ドタチン!教科書忘れちゃったから次の時間見せて!」

なんだこれ。
な ん だ こ れ!!


「俺、何かしたか…?」

ここまでいつもと違うと怒る感情よりも先に驚きの方が勝る。
どうして、臨也は俺から避けているんだろう。突き止めようとしても、俺の手は臨也に伸びる事もなく、虚しく空を切った。





ある日の登校時、俺が校門を通ると下駄箱から上履きを取り出そうとした臨也が苦痛の表情を浮かべていたのを遠目で見えた。視力AAなめんなよ。
その表情は珍しくいつものようにヘラヘラと馬鹿みたいに笑ってはいなかった。何事だろうと急いで近寄り臨也の肩を掴む。

「!!シズちゃ……」

「ようやく捕まえたぜぇ…」

「ばっ……離してよ!」

「あぁ!?」

パシンと手で振り払われる。こんな事をされるのも初めてで、一瞬戸惑うが、臨也のもう片方の手からパラリと紙が落ちたのが見え、直ぐに意識はそちらに向いた。

「っ」

「……んだこれ」

「みっ見ちゃだめ!!」

臨也が拾うより早く、俺が先にその紙を手にする。
紙は少し厚手で真っ白なそれにボールペンでくっきりと折原臨也様、と丁寧な字で書かれた…

「手紙?」

「…………」

何も言い返してこない。こいつが黙るなんて変だ。まあ元から変な奴だったが。最近の方がもっと変な奴だったが。

「誰からだ」

「……知らない人」

「もしかして、そういう感じの手紙?」

「っ!」

俺がそう言うや否や、臨也は俺の手から素早く手紙を取り上げ、読みもせずにゴミ箱へ放る。

「読まないのか?」

「…いいの。…シズちゃんも読まないでね」

「なんだそりゃ」

見たくもない、とでも言うように俺から顔を背けて歩き出した。臨也が見えなくなってから、俺はこっそりゴミ箱に入った白い封筒を広い上げて開封した。ただ単に気になっただけだ。それだけだ。臨也が捨てたから、どうせいらない物なら、うん。

中に入っていた封筒と同じ色の紙を取り出し、2つ折りのそれを広げ、目を通す。

「!?」

そこにびっしりと書かれた文字に、思わず絶句する。
前半は臨也への愛を語り、大量に書かれた「好き」の言葉。

そして後半には、

―それ以上平和島静雄に付きまとっていると奴を殺す

と紙の端まで殴り書かれていた。

「そういう事かよ…」




「臨也と門田は?」

「…知らねぇ」

「…そういえば、最近2人と話さないなあ…」

「……そうだ、な」

「何々、喧嘩でもしたの?」

「別に…」

同じクラスの癖に、お互いに顔を合わせない日が続いた。大嫌いな臨也が絡んでこなくなるのは喜ばしい筈なのに、何故こんなイラついてんだろう俺。

臨也の野郎、門田に気持ち悪い位くっつきやがって…。いやそれにイラついてる訳では…なくもなくもなくもないが。あ、今数えたやつ殺す。

「それはそうと、早く帰ろうよ」

「あ?…ってもう授業ないのか…」「どうしたの?静雄らしくないなあ…やっぱり臨也がいないと調子狂っちゃう?」

「ばっ…何言って…」

そう言った途端、門田が教室に戻ってきた。

「あ、門田!臨也は?」

「ん?なんかトイレに行くから先戻っててって…」

「は?臨也っていつもトイレ行く時って外で待ってろって言ってこねぇ?」

「え、静雄の前ってそんな事言うの臨也って」

「…………あぁ、確かにそうだな」

「門田も!?」

新羅が一人で目を丸くしてるが、この際無視。

なんか、嫌な予感がする…。
俺は少し困る門田と新羅を帰らせてトイレに向かった。





案の定、だ。





「やっやだ…離してっ!」

「なんで?俺はあなたを愛して止まない。好きで好きで好きでしょうがないのに!」

「はっ…う、」

男子トイレ一番奥の個室から、お取り込み中の声がする。
一人は臨也と、一人は…
先ほど手紙で読んだ文体と同じような喋り方をする…男。
あいつ男だったのか…。

「今朝も喋ってたでしょう、あいつと。何度も言ったのに、どうして約束を破るのかなあ…?どうなっても良いの?彼」

「!…だからシズちゃんは関係ないってば!!」

「っ…俺の前でその名前を言うな!!



「ひっ……!?」

俺の話になった途端、息が詰まるような声を上げる臨也。
息が詰まる?口を塞がれたのか…?

上等じゃねぇかコラ。

「いーざーやーくーん」

「!!」

「お取り込み中、失礼すっぞー」

俺は理性なんか取っ払って、個室の扉をもぎ取った。

「シズちゃん!?」

「っお前は…!」

直後に離される奴と男の顔。あああ気色悪ぃの見ちまった。くそ臨也のせいだ。

「……ぎゃ、離せ平和島静雄!!!」

「黙れ。俺ぁ今虫の居所が悪ぃんだ」

思ったよりも細身の男の襟を掴んで、もう誰もいないであろう教室まで引きずる。ぽかんとしてる臨也には後で行くから待ってろと言って置いてきた。



「っ…」

「ここなら誰もいねぇし、広いからいいかな」

「何を…!!」

「手前が臨也に手出すからんな事になるんだろうが」

「!!平和島静雄…やはりお前、臨也さんの事…っぶふぉあ!!」

臨也の野郎は何故俺がこの男に殺される事を恐れてたんだろうな。俺が男に負けない事くらい、臨也は分かっていそうなのに。あ、でも今まで避けてた理由が俺が殺されるからではない別の理由だったら、少し寂しいかもしれない。
近くにあった机を男に向け放り投げ、吹き飛んで仰向けに転がった男の胸ぐらを掴んで、男の顔を見据える。

ったく、こんな男と奴がキスするとか俺だったら気持ち悪くて死ねる。

「あぁ!?」

「臨也さんは気付いてないみたいだけどね…俺にはバレバレなんだよ。まだキスもしてなかったでしょう?ごめんなさいね俺が初めてとっちゃって。そんなに怒るなんて、やっぱり好きなんだよね、臨也さんのこと、大好きなんでしょう?」



これだけ凄んでも驚き一つとさえしないこの男が非常に腹立たしい。
ペラペラとうっぜぇ位喋りやがって。

俺が、臨也を好きだぁ?








「……はっ…だったら、どうしたってんだぁ?」







二度と口聞けなくしてやるよ。

「っぎゃあああああああ」


男には全治4ヶ月程の怪我をさせてやった。







「………そいつただのメンヘラ中二で死ぬとか殺すとか直ぐ言う癖に何もしないから…放って置いて大丈夫…だと思ったのに」

そう言う臨也の肩は小刻みに震えていて、
今まで相当無理してんだな、と思った。

「これで、手前は俺から離れてたのか」

「だからなんだよ」

「…俺が殺されたくないから」

「っ当たり前でしょ!!シズちゃんに死んで欲しくなんかない!!」

俯いてしまった臨也の頭を軽く叩く。

「っい……っ!」

「馬鹿か手前、俺があんなひょろい男に殺されてたまるか」

「………そう…だよ、ね!!」

そのあとシズちゃーん消毒してぇえーと前と変わらずひっついてきた。ウザかった。






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とろわさまへ!
「青アイ後日話で付き合ってる2人か告白話」というリクエストでした。
個人的にはまだ2人を付き合わせるのはまだ早い気がしたので(十分ラブラブですが←)シズちゃん恋心自覚話にしようと書いたんですが…あ、あれ…なんか曖昧な話にしてしまいました…orzすみませんでした!
あと勝手にモブキャラ×臨也すみませ…。初めてのちゅうがああああ(お前が書いたんだろ)

リクエストありがとうございます!すごく楽しかったです!