「また会ったな、ナマエ」
「……本当にそうですね！？つい数分前も似たようなセリフ聞いたのに……」
「旅路のお供にザッカリー！ナマエなら特別大サービス、今なら十割引で」
「ところで、バッターさんを見かけませんでしたか？」
「……えげつねえ……えげつねえよぉ……なにこのスルースキル……アイツのせいか……」
「バ」
「おいおい！そう何度も別の男の名を呼ばないでくれよ、ナマエ。せっかく二人きりの時間だってのに。なあ！？」
「（どうしてこんなに必死なんだ……）」
「とはいえ、迷子かぁ。はぐれちまったの？へっへ、可愛いねえ。どうせならこのままデートにでも行っちゃう？」
「それなら、一緒にバッターさんを探してほしいです」
「一人で行って！」
「えっ！デートしようって言ったのはザッカリーさんですよ！」
「違う！ぜんっぜん違う！どうしてデートで他の男を探さなきゃならないの！」
「（なんか怒られた……）」
「ナマエは口を開けばバッターバッターバッターだよほんとマジでうん」
「そ、そんなに言ってないです……！」
「自覚ないってオッソロシイな〜……」
「……でも、だって、バッターさんいわく」
「ほらまた呼んだ！」
「いいから聞いてください！」
「痛っ」
「バッターさんいわく、わたしは彼の果たすべきお仕事に欠かせないんでしょう？わたしが必要な存在なんだって、何回も言われたんです」
「……」
「それなのに、どうして置いていかれるのか分かりません……矛盾してませんか？」
「……。あいつの事だからナマエの身の安全を第一に考えたんだろうよ」
「……そうなんでしょうか」
「あーそうだよ」
「なんか適当……！」
「だって適当だしねえ」
「……」
「どうどう。そんなに怒らないでちょうだい」
「……はやく帰りたいなあ」
「ま、あいつが仕事を終えたら此処から去れるさ」
「そういう意味じゃなくて」
「画面の向こう側に？」
「あいかわらずの次元を無視した発言だ」
「オレはこういうキャラクターだってプログラミングされてるのさ。面白いだろう？電子媒体を隔てているというのにまるで実際に会話をしているかのような錯覚！」
「……」
「まあ今のナマエは錯覚っつー言葉じゃ説明つかねえがな！ははは」
「それで、いつになったら」
「帰れねえよ？」
「……え？」
「だから、ナマエは帰れねえよ」
「え？」
「え？」
「そんな……なんで」
「なんでってなんで？帰る必要あんの？」
「え？」
「え？」

え？