見回りから帰って来て一息つけるかしら、と思った時にナマエちゃんが落ちてきた。クリーチャーかと思って本当に驚いたわ!表世界だから奴らが出てくる筈ない、そう安心しきっていたのだもの。あの娘はどうやら攫われたみたいだけど、その犯人の中年の男性って、多分見回りをした時に見かけたあの死体の彼よねぇ…。綺麗に真っ二つにされていたわ。あの独特な傷痕、きっと此処の処刑人───レッドピラミッドシングだと思う。罪の意識でも感じてしまったのでしょうね。

そういえば彼の死体を発見した所は此処からかなり距離がある場所だったのだけど、ナマエちゃんはどうやって生き残ってきたのかしら。見た目は普通の女の子で、武術を心得ているようにも見えない。でもそんな非力な存在は、このサイレントヒルでは殺されてしまう。……もしかして、教団兵に助けてもらったの?なんて、そんなのあり得ないわ。だって彼らは狂っているのよ。

───じゃあ、一体どうやって?

一つだけ思い当たる節があった。でもそれを肯定してしまうと、この娘は……ナマエちゃんは、おそらく。

「ウィーラーさん、ありがとうございますね」

にっこりと可愛らしい笑顔を私にむけてくれるナマエちゃんを見て、ああ確かに真っ白な彼女は、闇に魅入られやすい人間かもしれないと思った。

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