※原作程度の暴力・流血描写があります/女の子には「朔夜」という弟がいる設定です


「襲撃ィーー!! 場所は南!! 藤の花の家紋の家!! 南の藤の花の家紋の家ェーーー!!」

 それは突然の報せだった。
 各々が各所で任務を遂行し、鍛錬をし、休息をしていた時分である。彼らが率いている鎹鴉が声高らかにそう言ったのだ。始めはみながその発言に耳を疑った。
 蝶屋敷にて治療中の身である炭治郎は、その伝令に驚愕し、そして憤懣が誘起する。南の、と言うと、炭治郎と同い年の少女が暮らす───度々世話になっている───家だった。
 元来、“藤の花の家紋の家”とは、鬼殺隊を支援する一家だ。無償で衣食住を提供してくれ、そして旅の安全を祈願してくれる。炭治郎はギリ、と歯を食いしばる。今助けに入らずいつ助けるというのか。
 
「炭治郎くん、どうか無理はしないでね。禰豆子ちゃんも、お兄ちゃんと助け合ってね」

 少女の名はなまえと言った。
 炭治郎は彼女の科白を思い出す。彼にとって、それはやけに印象的な場面だからだ。
 彼女は毎度、任務に出発する炭治郎らに、そのように言葉として表するのだ。決まって豆だらけで皮膚も肥厚した己の手を、柔らかく、そして温かい手で包み込みながら、泣きそうな顔でそう言われるのである。不安にさせまいと無理して吊り上げられた口端は見ていてどこか痛々しく、それでも心の底から安全を祈ってくれていたのが伝わった。炭治郎はその様子を見て、今一度気持ちを奮い立たせていた。

「鬼も、元々はひとだったのにね。幸せになる権利はあるのだと思う」

 また、なまえは風変わりにも鬼に同情の余地を見せる少女だった。元は人間であるからこそ、幸せになる権利があると。不幸になる謂れはないと。それが彼女の持論だった。
 偶然にも、なまえには禰豆子と同年齢の弟がいた。彼女らは鬼である禰豆子のことを忌避することもなく、それどころか共に遊び、物事の教授までをもやり取りする間柄だった。
 そんな家が、一体なぜ。
 否、考えても仕方がなかった。炭治郎は拳を握りしめると、折れた足を地につけ、立ち上がった。体重をかけることができず転びかけるが、次も、また次も、着実に歩みを進め、部屋から出ようとしたところで声がかかる。

「炭治郎さん!! なにしてるんですか!!」

 ぷんすかと怒っている少女は神崎アオイだ。いつも重症を負っているというのに無理をする炭治郎に目を光らせているのだ。
「でも、なまえが!」炭治郎切羽詰まった声色でそう言えば、アオイは言葉に詰まる。

「なまえさんのことは聞いています。炭治郎さんのその気持ちも、私には痛いほどわかります。でも、今は───」

 アオイは唇を引き結ぶ。「───今は、ほかの隊員達に任せて、私たちは信じて待つことしかできないんですよ……」涙声になるアオイを見て、しかしやはり無力を感じた炭治郎は、悔しそうに固く唇を噛み締めた。


!

「……は、はあっ、はっ……」

 フと、虫の知らせが脳裏を過ぎったのだ。確信ではない。第六感が、はやく帰れと叫んでいた。
 なまえは買い物の途中だったが、荷物をその場に落として無我夢中で家に向かい走った。冷たい空気に肺が悲鳴を上げている。肋骨が軋み、呼吸するのが苦しい。それでも足を止めなかった。
 そして家の門の前に立ち尽くす。藤の花の家紋には、血飛沫がかかっていた。それにサッと血の気が引く。
 虫の知らせは間違ってはいなかった!
 なまえは震える手で門を開く。すると、一歩踏み入れただけにもかかわらず、鉄錆のにおいが嗅覚を刺激した。
 足に力が入らない。手足先の体温が急降下する。ガチガチと歯の根が合わない。だが立ち止まってもいられない。なまえは意を決して、玄関の扉を開いた。
 玄関には、大きな血痕がひとつ、残されていた。そこから引き摺られたかのような痕跡が残っている。辺りに飛び散っている血液は赤色で、未だ新鮮であることを示唆している。
 ギシ、と段差を登り、血痕が続いている左手にある障子を開ける。一番最初に視界が捉えたのは、肉塊だった。
「お、お父さん……?」それには頭がなかった。父親であるかすら判断がつかない。力ずくで首から引き千切られたかのようにぐちゃぐちゃな切断面に、なまえの目からボロ、と一粒の涙が溢れる。ずるりと器用にも肉だけをくり抜いたようで、露出された頸椎が眼前に鎮座している。赤黒い凝血塊が棘突起から滴っている。擦れた声で声をかけるが、返事が来るわけがない。それはあまりにも無謀だった。
「……そうだ、お父さん、お母さんと、そう、朔夜は……」目にしている遺体を父親であると認めなかったなまえは、焦点が定まらない瞳を携えてフラフラと立ち上がり、縁側へと向かう。血の足跡が残っている。もしかすると鬼がいるかも知れなかったが、現在の魂の抜けたかのような彼女には、想定する心の余裕がなかった。
 縁側には、誰もいなかった。その代わりに、庭にあるブロック塀に付着しているひしゃげたなにかが目に入った。それは人間だったものと判断するには多少の時間が必要なほど、原型を留めていない。
 庭は荒れに荒れている。鹿威しは折られ、漏れた水が水溜まりを形成している。父が気に入っていた桜の木は樹皮がえぐられ内部が露出されていた。
 なまえはおぼつかない足取りで得体の知れぬ物体の前に歩みを進め、血液に触れる。震えた指のおかげで、そこにある血痕からはみ出るように点々と赤色が刻まれる。
 その物体の周辺には、髪の毛がまばらに散乱していた。それは月光が反射し、美しい黒色だった。

「あ、あ、」

 声が出なかった。目の前の肉塊が、己の家族だと信じられなかった。信じたくなかった!
 なまえは突然脱力したかのようにと砂利の上に尻もちをつく。活動を停止した脳味噌では情報を処理するのに時間がかかったが、彼女はようやっと眼前の物体が“母親”であることに気がついた。
 先の部屋にいたのは、服の色からして父親だろう。頭が無くとも、やはり“父親”だったと、それが紛うことなく“父親”であると、そう思った。
───朔夜は? なまえはハッとした。父と母は“いた”が、朔夜の姿だけ見えない。

「……っさ、さくや? さくやっ……!」

 泣きながら声を上げるなまえの後方から、ジャリ、と砂利を踏む音が聞こえた。彼女はそれに安堵の表情を浮かべ振り返るが、次の瞬間には地に押し倒されていた。
 牙を剥いて覆いかぶさって来たのは、朔夜だった───朔夜“だった”鬼、だった。唾液を滴らせ襲いかかる朔夜に、なまえは咄嗟に近くに転がっていた鹿威しを手にすると、彼の牙をそれに噛みつかせる。

「さ、っさくや! わたしだよ、なまえ!!」

 朔夜だった鬼は、両手両足、そして口許が真っ赤な血液に染まっている。
 垂れて頬に落ちる唾液と血液が、輪郭に沿い伝う。彼は明らかに自我を失っていた。
 なまえは必死に己の名を紡ぐが、朔夜の耳に届いているようには見受けられない。

「っ、おねがい、おねがいさくや……!」

 なまえは涙する。両眼からボロボロと水を落とすが、朔夜が力を弱めることはない。
 けれどもなまえは諦めていなかった。禰豆子の例があるから尚更だ。
 彼も彼女と同じく、ひとを喰らう鬼にはならないはずだと、そう信じていたかったのだ。
 すると、おもむろに朔夜の首から血が噴き出した。視界が赤に支配される。

「……え?……あ、……」

 朔夜の首の奥から、月明かりの下でも把握できる、赤色の、刀の切っ先が飛び出して来た、のだ。
 刀身はそのままズ、と横に走り、ゴロ、と首が落ちる。なまえは眼前で起こったことに理解が追いつかなかった。
 首が落ちたことで視界が開ける。そして目に入ったのは。

「なまえ! 危なかったな!」

「よもや間に合わぬかと思ったが、杞憂で済んでよかった」快活にそう言った、炎柱の煉獄杏寿郎だった。彼は日輪刀を鞘に収めると、にっこりと満面の笑みを浮かべる。
 燃え上がるような赤髪。鬼を一匹たりとも見逃さぬ赤い瞳。柱の風格たる装いに、なまえは無性に泣きたくなった。
 煉獄はしゃがみ込むと、血を塗りたくったかのように真っ赤ななまえの顔を拭ってやる。彼の隣には、力なく横たわっている朔夜の姿がある。さらさらと崩壊しつつあるその身体を見て、なまえは悲鳴を上げた。

「さ、朔夜!!」
「む? どうした」

 きょとんと目を丸くした煉獄を前に、なまえは泣きじゃくる。
「れ、れんごくさま、さくやは鬼になんてなりません、なにかの間違いなんです」どうして殺してしまったのですか。なまえは崩れ落ちぴくりともしない朔夜“だった”ものに縋る。
 なまえは、朔夜は鬼ではなかった、と幾度も声を上げる。彼女は現実から目を逸らしているだけなのだ。仮に鬼であったとしても、禰豆子のようにひとを喰わぬ鬼であると。だが、当然ながら禰豆子の件は特異的であり、必ずしも彼女と同様の状態に陥ることは確証はない。
 つまるところ、彼女は考えが甘かった。

「だが、なまえに襲いかかった」

 煉獄は、至極淡々とそう言い放つ。なまえはそれに首を左右に振った。
「弟君は普通の鬼とは違うと言うのか?父母を喰らったというのに」冷たい声だった。いつもの柔らかで温かな佇まいとは一転して。
 
「さ、さくやが、」
「弟君を殺さなければなまえが死んでいた」

 煉獄は食い気味にそう言う。びり、と大気が震える。なまえはそれにしゃくり上げるように涙を溢れさせた。煉獄は静かに彼女の頭に手を乗せると、優しく撫ぜた。

「竈門少年の妹の事例は極めて稀であることには考えが及ぶだろう」

 煉獄はなまえの頬に手を寄せ、とめどなく溢れる涙を拭ってやる。それでも留まる様子を見せない彼女に、眼を細めた。
「ひ、っう、うう……」下を向き両手で眼を擦り始めるなまえは、見ていて心痛いものがある。だが、ひとり生き残っただけでも儲けものだった。鬼によって家庭が全滅させられるのは珍しい話ではなかった。
 生きていくうえで、“絶対”という言葉はないのだ。明日も“絶対”生きていられる、“絶対”いつも通りの生活を送れる、だなんて夢物語なのである。
「むう……」煉獄は未だ泣き止まぬなまえに思い悩む。
 そしておもむろに妙案を思いついたかのような表情を浮かべると、地に膝をつき、なまえの全身を包み込むようにして抱きしめた。幼子をあやすかのように頭を撫ぜ、背を摩る。

「大丈夫だ。俺がいる限り、なまえは絶対に死なせない。必ずや守ってみせる」

 “絶対”ということは有り得ない。だが、煉獄がその言葉を口にすると、何故か“絶対大丈夫”だという確信が腹の底から湧き上がる。
「っれ、れんごくさま」なまえは思わず煉獄の背に腕を回すと、彼は再度力を込めて抱き締め直した。
 数十分ほどわんわんと子どものように鳴き声を上げていたなまえは、次第にしゃくり上げるまでに我を取り戻すと、今己が煉獄に抱き締められていることに羞恥を抱いた。
 そして厚い胸板を押し、もう大丈夫です、と言おうと思ったのだが、それは不可能に終わった。抱き締める力があまりにも強かったのだ。

「う、うう、れんごくさま」
「ん?」
「あの、あの、もう大丈夫です」
「む、そうか!」

 なまえがぎゅうぎゅうと抱き締められながら苦しそうにそう言えば、そこで漸く腕の中から解放される。
 顔を上げて真っ正面から煉獄のことを見上げる。赤い瞳に映る己は、泣きじゃくり両眼が腫れてはいるものの、どこか吹っ切れたような、受け入れることができたような、そんな面持ちをしている。
「腫れてしまったな」煉獄はそう呟くと、瞼が赤く腫れぼったいなまえの目元を優しくなぞる。彼女はそれに頬を赤くすると、はにかむように笑み「すみません、お見苦しいところをお見せしてしまって……。でも、もう大丈夫です。ありがとうございます」と言った。

「……」
「……あ、あの、煉獄さま?」
「……なんだ!」
「えっ、あの、煉獄さまも大丈夫ですか……?」
「……うむ! 問題ない」
「そ、そうですか? それなら良いのですが」

 どこか反応が鈍い煉獄になまえは首を傾げるが、大丈夫かと問えば肯定の言葉が返ってくるため、それ以上詮索することは叶わない。
 そして、なまえは今後のことについて思考する。家が全滅してしまった以上、ここに留まるわけにはいかない。
 すると、「蝶屋敷に行くか」と、そんななまえの心の内を察したかのように煉獄はそう言った。

「しのぶさまのお屋敷ですか?」
「そこならば胡蝶もいて此処よりは安全だ」
「……そう、ですね。ですが、しのぶさまがそれをお許しになるか」
「拒否する謂れはないだろう」

 では行くぞ! ハキハキと響く声でそう言う煉獄は、そう言うや否やさっさと門をくぐるので、なまえは慌ててそれについて行った。




 蝶屋敷に到着すると、煉獄は胡蝶を探し話をつけるといい何処かへ向かった。その最中、なまえは所在なさげに近くにあった部屋へと足を踏み入れる。
 そこは治療室のようで、沢山のベッドが陳列されている。そしてその中のひとりに、面識があることに気がついた。思わず名を呼び、慌てて側に歩み寄る。

「炭治郎くん! どこを怪我し」
「なまえ……!」
「わっ、ど、どうしたの?」

 なまえが炭治郎の隣へ行くと、彼は悲痛な面持ちで彼女の腕を掴み見上げる。
「俺、助けに行こうと思ったんだ。でも出来なくて」悔しそうにそう言った炭治郎に、なまえは微笑む。

「炭治郎くんの気持ちは十分伝わってるよ」
「でも!!」
「大丈夫。煉獄さまが助けてくださったの」
「……っ、なまえ、」

 瞼が。炭治郎はそう呟いた。傷ましく腫れているなまえの両瞼。彼はまるで自分のことのように悲しそうに、そして泣きそうになる。
 彼女はそっとベッドの近くにあった椅子に腰かける。「……なまえ、家族のみんな、は」震えた声で口を開く炭治郎に、なまえは眉尻を下げる。悲しませまいと考えているのか、口端は緩やかに上げられている。それは誰が見ても作り笑いであると理解できるような、へたくそな笑顔だった。

「お父さんもお母さんも、……朔夜も、……」
「……そんな」
「でも、わたしは助けてもらえた」
「……」
「……わたしね、自分がこんな目に遭うなんて想像したことがなくて」

 そう言葉を続けるなまえの瞳には、再び涙の膜が張る。「みんなが任務に向かうのを見送っていたのに、自分のことになると棚に上げて、普通の生活がこの先も続いていくって、そう思っちゃってて」今炭治郎の鼻腔をくすぐるのは、なまえの深い悲しみだった。炭治郎は過去の己に重ね、つらそうな表情で胸を痛める。
「これから幸せが続くって保証は、どこにもないのに」ポロリと涙が一雫、なまえの頬を伝う。
 炭治郎は拳を握りしめる。少しでも悲しむひとが減るように、鬼の脅威から守るために刀を握っているのに、なかなかどうして実現することができない。事実、身近な人間が、つらい目に遭っているではないか!
「炭治郎くんはやさしいね」ハラハラと涙を溢しながらなまえは言う。炭治郎は思わず手を伸ばし、彼女に触れようとする。「わたしみたいな人間のこと、気にかけてくれる」だが、その手はなまえに取られ、常のように、以前のように、両手で優しく包み込まれた。それに彼は泣きそうになる。
 違う、と炭治郎は心のなかで思う。本当にやさしいのは、なまえなのだと。そう思うのだ。
 なまえからは涙が浮かぶほどやさしいにおいがするのだ。ひとの死をひどく悲しみ、人知れず涙を流す。彼にはその光景が目に見えるようだった。笑っているのに心は泣いている。それがなまえの常だった。

「違う、なまえ、違うんだ」
「ううん、違わないよ。炭治郎くんは───」

 ギュッと拳を優しく握り、なまえは言う。

「───炭治郎くんは、自分で思っているよりも、ずっとずっとやさしいよ。わたしは、そのやさしさに助けてもらっているから、わかるよ」

 泣きながらそう口にされれば、炭治郎も涙腺が緩む。
 そして再び口を開こうとしたが───

「竈門少年!!!元気そうで何よりだ!!!」

───それは未遂に終わる。
 びりびりと治療室が揺れる程の声量で言葉を発したのは煉獄だった。彼はずん! ずん! と部屋に足を踏み入れ炭治郎となまえの元へと歩んでくる。
 なまえはぽかんと口を開け、炭治郎はハッとする。煉獄は傷ひとつ負っていないのはさすがは柱であると、尊敬の眼差しで見上げる。

「煉獄さん!」
「よもや!!」
「!?」
「?」

 だが、名を呼び言葉を紡ごうとするものの、彼はまるで話が耳に入っていないような様子で、炭治郎は困惑している。

「あの、なまえのことを助けてくださりありが」
「よもやよもやだ!!」
「!?」
「??」

 炭治郎は混乱した。何故か話が通じていないように見受けられる煉獄に。それはなまえも同じらしく、ふたりは頭の上に疑問符を浮かべる。
「……なまえ、また泣いていたのか」フと、なまえが再度涙を流していたことに気がついた煉獄は、その大きな手を彼女の頭に乗せると、優しく撫ぜる。彼女はそれにまた涙を溢した。

「れ、れんごくさま」
「どうした」
「本当に、ありがとうございます」
「……気にしなくていい」

 彼は優しい声音でそう言いながら、なまえの涙を拭った。そして輪郭をなぞるようにして無骨な指を滑らせる。炭治郎はふたりのその様子にどきりと心臓が跳ねる。そして彼は汗ばんだ手を握り締め、さあ口を開こうとしたところで第三者の言葉がかかった。

「なまえさん。大変でしたね」

 胸を張る煉獄と、困惑している炭治郎となまえの仲介に入ったのは胡蝶しのぶだ。彼女はなまえを見ると、優しげな笑み浮かべ労りの言葉をかける。それはまるで女神のようだった。
 その容姿端麗な姿に、同性といえどなまえは思わず頬を赤くする。異性である炭治郎ならば尚更のことだ。
 「は、はいっ!煉獄さまが助けてくださいました」緊張気味にそう言ったなまえを、胡蝶は慈愛の眼で見つめる。

「一般的な看護や炊事洗濯ができるとなると、戦力になります。隊員たちの生活の質が保たれるように、一緒にがんばりましょう」

胡蝶のその科白に、なまえは涙を拭うと微笑んで頷いたのである。

200202

- ナノ -