全く持って世界は理不尽だと思う。
愛想がある者こそ愛されて、無愛想な者こそ嫌われる。
笑う事に価値のある世界。
全く持って馬鹿らしく、壊してしまいたい法則である。


「と思うのだが、君はどう思う」
「別に興味なし」


少々感情が入り、力の籠った説明だったのだがばっさりと一言で返答される。
その反応に軽くショック。
まぁ何時もの事だこあまり気にしない事にしておこう。


「だが君はもう少し好奇心と言うモノを持った方がいいと思うが」
「嫌ですよー。教授」
「………まぁ、素直に聞く君では無いか」


やる気を出せばもっと地位でも名誉でも得るモノがあると思うのだが、中々意欲的に動き出さない己の生徒。
それを言えば余計なお世話だと返って来るに決まっているので言葉には出さない。
わざとらしく咳払いを一つ。


「しかし、どんなに理不尽であろうと、私は経験上知った」
「何がですかー」
「諺にもあるように『笑う者には福来る』精神で生きると驚く程、順調に物事が行くのだ。例えその言葉を信じていなくとも、愛想笑いを浮かべるだけで全て上手く行くのだよ」
「へぇー」


おぉ、全く持って興味の無さげな気の抜けた返事。
此方は何時もより真剣に話していると言うのにこの気持ちが伝わらないのか。
結構傷付く。
まぁそれも何時もの(以下略)


「だから君に、世を上手く渡るには『兎に角笑え!』と言いたいのだが」
「嫌です」
「だからどうして君は……」
「教授も知ってるでしょー。僕は面倒な事はしたくないんでーす」


極度の面倒くさがりな彼は、今まで接して来たどの生徒よりも融通が効かない。
後は溜め息しか出てこない。


「君はやっぱり手強い生徒だよ」
「苦労掛けます、教授」


明らかに面白がっているのか顔に出ている。
わざとなのか本気なのか分からない、不思議なオーラを漂わせている彼に、また教授は振り回されて行く。






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