人は何でも白黒を付けなければ気が済まない何とも面倒な存在である。
彼方此方で議論が交わされ、是非を語る。


「全く煩くて適わない」
「何が」
「あれが間違ってる、此れが間違っている、それだけが正しいと言い張る奴等」
「あぁ、成る程ね」
「と云うか何が正解で何が間違ってると誰が決めた事だ?」
「さぁ?」


肩を竦め、即答する彼に軽く辟易しそうだが、深い息を吐き出しあまり気にしない様にする。


「ま、別に深く考えなくても良くないかぁ?もっと気楽に考えれば良いのに」
「お前みたいに短絡的に考え過ぎもどうかと思うがな」
「それが俺の良い所デショ」
「あぁそうかい」


常にお気楽思考なこいつと俺は何故つるんでいるんだろうと唐突に想う。
が、まぁそんな事は脳内の端に置いておく。


「全く、お前の頭みたいに単純回路で廻る世界だったら楽かもな」
「そうかもね」


しかし、それはそれでつまらない世の中になりそうだ。
しかめっ面を浮かべながら考え込むと、突然眉間に衝撃が走る。
一瞬何が起きたのか理解出来ず、状況判断が鈍った。
しかし、原因は分かった。
目の前で楽天的に笑みを浮かべる彼の指先が、勢い良くぶつけて来た様だ。


「………何をするんだ」
「だってさぁ、思いきり眉間に皺が寄ってたから、いつかその皺消えなくなるんじゃないかなぁって言う心配をしてあげた結果だよ」
「嘘だろ、絶対嘘だろ」
「やだなぁ、そんなに疑うなんて」
「疑いたくなるような事しかやった事ないお前に言われたく無い」
「あははは」


笑って誤魔化す所に再び苛立ちを感じるが、段々どうでも良くなって行くのが自分でも分かる。


「取り敢えずさぁ、“答え”なんてさ誰も分からないんだから、考えるだけ無駄だって」
「………そんだな」







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