それはいつも通りの日常。
普通に朝に目覚めて、布団から起き上がる。
そして何気なくテレビを付ける。
別に目的は無い。
丁度其処に映し出されていたのは、連続通り魔殺人の犯人が捕まったと言うニュース。


『いやぁ、怖い世の中になりましたね』


ありきたりな感想を述べるアナウンサー、それに同意する評論家。
そして事細かな犯人の動きや犯行時の再現などが映される。


「その怖い世の中に影響させてるのは誰よ」


テレビに向かって呟くと同時に、テレビの電源を切る。
あぁ、何か気分悪いわ。
テレビなんか付けなければ良かったと今更ながら後悔するが、今更思っても過ぎた事。
テレビのリモコンをソファーの上に放り投げ、湯を沸かす為にキッチンへと入る。
しかし、何処かモヤモヤとした気持ちが抜けきれない。
脳裏に先程の言葉が木霊している。


「あぁ、何で気付かないのかしら」


彼等は無意識のうちに、犯罪に手を貸して居る事を。
犯人の動向、その動きの再現。
それを馬鹿共は真似をして犯罪の連鎖は広まって往くというのに。
簡単に犯罪を教えている世の中。
それとも気付いているのに気付かないふりをしているのかしら。
自分の欲望の為に。
どちらにしても。


「本当に怖い世の中になったわね」


無意識と言う最大の犯罪が拡がるこの世界は。






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