時折不思議に思う。
何故にあんなに敵を作る様な物言いしか出来ないのだろうか、と。
良く言えば素直、悪く言えば卑屈の塊。
「誠に、不器用な奴だな佐吉は」
「何だと?」
「お前ならばもう少し賢い生き方が出来る気がするのだかな」
「何が言いたい紀之助」
眉間に皺を寄せ剣呑な空気を軽く纏わせながら問い返してくる。
何て分かりやすい反応であろうか。
やれやれと軽くため息を吐き出し、ぼそりと呟く様に話始めた。
「自分自身の物言いで周りから良く思われていない事位お前も自覚してるだろう?」
「そんな事か。俺はあんな猪武者に何と思われようとも別に構いやしないさ」
「佐吉…お前ねぇ…」
皮肉めいた笑みを浮かべ、自信満々に告げる三成の態度に、思わず盛大なため息を溢してしまう。
やれやれ、何故こいつの親友をやってられるのだろうかと時折考える事もしばしば。
しかし見捨てられないのもまた事実であるのだが。
「それに」
唐突に呟く声を聞き、三成の方へ振り向くと先程の笑みとはまた違うほくそ笑みを浮かべていた。
「それに?」
「俺には紀之助が付いてくれるだろう?」
何処から浮かんでくるのか分からない自信を込めて告げる。
その言葉に一瞬目を見開くが、段々笑いが込み上げてきた。
「全く、何時まで面倒を掛けるつもりなのやら」
小さく呟いた言葉。
しかし面倒と言いつつも顔は何処までも優しさを浮かべていた。
「何か言ったか?」
「お前は面白い奴だって言ったのさ」
「何だ其れは」
そして互いに笑う。
不器用であるが、真っ直ぐな生き方をする彼を近くで見守っていたいと静かに思った。