腐り堕ちた宝石の行方(sss)
2016/05/20 22:49



「じゃあ正義の話をしようか」
コンクリートに囲まれた無機質な部屋に、質素な銀色をした小さな会議テーブルが一つ置かれている。
その両端に対面するように置かれたパイプ椅子に座る二人。
一方はきっちりとワイシャツの第一ボタンまで締め、ネクタイに歪みは無い。
スーツはしっかりとアイロンが成されており、如何にも優秀かつ、真っ直ぐな性格がその姿から滲み出てる青年である。
そしてもう一方は、着古したTシャツに、黒のパーカー。
ダメージジーンズをルーズに着こなす十七程の少年であった。
最初の台詞はにやりと嗤う少年の声であった。
「お兄さんにとっての正義は悪を捕まえる事こそが正義だと思ってるデショ」
「当たり前だ。悪は絶対に許されるべきではないのだから」
「なら、その許される事の無い悪が世界から滅びたとするよ。その時のお兄さんの存在価値は?悪を罰する為に存在するお兄さん達の尊厳は何処へ行くと云うの?」
「悪が滅びた時は、その平和を維持する為に我々は存在し続ける。我々は人々の幸せを維持する為に此処にいるのだ」
ぶれる事無く真っ直ぐに見つめる瞳。
その身のこなし方から想像通りの真っ直ぐさに、呆れるよりも尊敬の念すら出てきそうになる。
「お兄さんは立派だね」
「君も罪を償い、これから真っ当に生きる事だって出来るだろう」
「それは、ムリ、かな」
再び含みを込めた笑みを浮かべ、パイプ椅子から勢い良く立ち上がる。
すると耳をつんざくような音が響いたと思えば、コンクリートの壁は粉々に砕け、少年は思い切り青年の鳩尾へ一撃加えた。
突然の事に、一瞬反応が遅れた青年はまともに衝撃を位、直ぐに立ち上がる事が出来ず、息が詰まり声も上げる事も叶わない。
空いた壁からは、雲の無い紺色の空には星が輝いて居た。
穴の空いた壁に足を掛け、今にも外に飛び出しそうな少年を捉えようと青年も必死に立ち上がろうとするが、不思議と力が入らない。
「ま、待て…っ」
「悪はね、一回背負ってしまったら、償おうとも、懺悔しようとも消える事は無いんだよ」
それは一生死ぬまで。
「それでも、真っ当に生きる事が出来ると信じているなら、お兄さん、僕を捕まえてみなよ」
何処までも真っ直ぐに、その固い芯を司る正義の名の元に。
「それじゃ、今日の正義の話はこれでお仕舞いだね」
また叶うのであれば、正義の話の続きをしたいと思う。
その時は彼の正義は変わっているだろうか。
それでもまたぶれる事が無いまま信じていて欲しい、いいや、信じさせて欲しい。
この腐った世界にまだ揺るぎ無い正義がある事を。







――――――


前々から書いて見たかった泥棒と警察的な関係性の何か。
最早何が言いたいのか…。
正義の話が書きたいのです。
正義って何なんですかね、一生の問いになりそうですが。

正義について考えるのが楽しいのですよ。
私の信じる正義も、誰かが考える正義もきっと違う。
正解なんて無くて、けれど一人一人の正解があるとは思ってます。


何か眠い頭で書いてるからまとまって無い気がす…。



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