「埋滅鎮魂歌」


何時だって、遠すぎた



あなたの背中はオレにとって



凄く大きなもので



でも、凄く遠くて



追いかけても、追いかけても



どんなに手を伸ばしても



決して届かない



それは純粋な憧れで



でも、どこか苦しくて



決して手の届かない高みに居るあなたが



羨ましくて堪らない



あなたがオレよりも遥かに優れていることも



遥かに才能に溢れていることも



頭では分かっているつもりだった



だが、頭では分かっているのに



心がどうしてもそれを受け入れてくれなくて



あなたに少しでも近付きたくて必死になって努力したけれど



そうしたところで縮むことのないこの距離に



何時しかオレはもどかしさを感じ始めた



そんな時、目の前にちらつかされた力が



オレには凄く魅力的で



もしかしたら、あなたの見ている世界を見ることが出来るかもしれないと思って



それでオレは、あいつを受け入れた



その力はオレの事を強くした



オレは勝つことへの執着に駆られた



その時のオレは、もうあの頃のオレではなくて



純粋にサッカーをしているオレではなくて



憧れていたはずのあなたを



気が付けば傷付けていた



それでもあなたはオレ達のことを気に掛けて



助けようとしてくれた



結局は、オレは何も得ることなど出来なかったのかもしれない



それでもオレは、これで良かったと



心の中で安堵した



少しでも、短い間だけでも



あなたの見ている世界を垣間見ることが出来た気がしたから



そして何よりも今



こうしてまたあなたと向かい合い



純粋にサッカーに臨める気がするから



だからオレはこのまま少し眠ります



再びあなたと、あなたの背中を追いながら



フィールドを駆けることが出来る、その日まで…



『埋滅鎮魂歌』
(それは遥か宇宙の果てで煌めく綺羅星のようで)
(それでもオレは空を切りながらも、この手を高みへと伸ばし続けたい)



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佐久間の独り語り。
鬼道への憧れと嫉妬の話。

凄く憧れの存在であったけれど、それ故に決して敵わないと感じさせられてしまう敗北感。
だからこそ、帝国を抜け、雷門で勝利を知った鬼道に対し、嫉妬の感情を抱いてしまう。
自分達は見捨てられたのではないかと感じてしまう。
それは人間として当然の感情で、でもその感情の揺らぎが結果として禁断に触れることとなってしまった。
真帝国佐久間は、きっとそんな抑えきれなくなってしまった不安や嫉妬といった負の感情が顕現した姿なのではないだろうかと思います。



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