※アニメ二期53話、54話


side-R

(……何て顔をしているんだ)
お父様とやらを倒すため、第三研究所まで来てみれば地下の入り口が封鎖されていて、中からは怒号やら叫び声やら。
その中に愛しい子どもの声が聞こえたとき、迷うことなく指を鳴らした。
中には白い怪物と、数人の影。
金色と赤色が目に入った。

「手を貸したほうがいいかね、鋼の」

振り向いた顔は何で、と言いたげだった。



恐らく自分で錬成したであろう槍。
それを振るう彼の顔は悲痛なまでに歪められていた。
優しい彼のことだ。
怪物の動力である賢者の石、それも元になった人間のことを考えているのだろう。

だからこそ、だ。

指を弾いて怪物だけを燃やす。
誰かがすげえ、と呟くのが聞こえた。

「これは敵だ!」

だからこそ君にはそんな顔をしてほしくない。
酷なことを言っている自覚はある。
君を傷つけたくない私の我が儘。



side-E

(……何て顔してやがる)
エンヴィーと大佐を追い掛けて傷の男と走った。
あっちこちで焔と煙。
そして悲鳴。
「私の獲物だ」と言った大佐は見たこともない顔をしていた。その時感じたのは恐怖。

傷の男に言われた言葉が頭から離れなくて。
必死に大佐がエンヴィーを殺さないようにと祈った。
大佐と中尉、それからエンヴィーの本体が見えた。とっさに錬成でエンヴィーをこっちに跳ね飛ばした。

「そいつを渡せ、鋼の」

こんな目、知らない。
こんな大佐を俺は知らない。

「もう一度言う。そいつを渡せ」

だったら、俺が知ってる大佐に戻せばいい。
こんなことで俺はアンタを失いたくないんだよ。

「断る!」

だから破滅の道なんかを選ぶな。
戻ってこいよ、クソ大佐。
アンタの道は違うだろ。


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