※大学生くらいに思ったらいいです


「あー! あー! 寒い寒いこれは寒い!」
「そんな薄着で来るからだろう馬鹿」
びしい!とロイが指差したのはエドワード。半袖のシャツにジーパン。
暴風のような中では寒いに決まっている。さらに山の上となれば気温も下がる。ジーパンだったのが唯一の救いだ。
反対にロイは長袖に上着を羽織っている。下は同じくジーパン。防寒対策は完璧だ。
「長袖なんてずるいぞロイ!」
「ちゃんとガイドブック読んでりゃ自然と長袖になる」
「くっそー!」
物凄い風のせいでお互いに髪はぐしゃぐしゃだ。
ロイは前髪を押さえながらエドワードを見る。
小さな体を震わせてロイを睨みつけている。
小動物という単語が頭をよぎった。
「あーもー寒い!」
堪らなくなったのかエドワードはロイの背中に抱き着いた。これに慌てたのはロイである。
「(なんだこれかわいい!)」
ロイは平静をよおそいながらエドワードを引きはがし、自分の上着を羽織らせた。
「それ羽織っとけ」
「おお。サンキュ!」
「引っ付かれちゃいくら小さくても動きにくいからな」
「誰が背中にいても気づかないほどのチビかー!」
「うるさい。ほら火口見に行くぞ」
「ロイなんか火口に落ちろ!」
ずんずんとロイの前を歩いていくエドワード。
落ちねえよ、と突っ込んでからエドワードの横に並んで歩きだした。
このあと、山の天気は変わりやすく、雨と風さらには雲で景色もへったくれもなくなったのは余談である。


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