[前回までのあらすじ]
小国リゼンブールにあると言われる「大エリクシル」を求めて海賊団イーストはリゼンブールに侵入した。そこでエドワードとアルフォンス。そしてハイデリヒに出会い、仲間に入れることになる。大エリクシルは見つからずリゼンブールを出たあとでエドワードたちの正体を知る。彼らはリゼンブール王子とその従者だった。




「何故王子が海賊なんかに」
ロイの尤もな質問に王子、エドワードはココアをすすりながら答えた。
「嫌になったから」
「エドワードさん! 違うでしょう」
横からすかさずハイデリヒがツッコミを入れた。
アルフォンスがすみませんと言いながら説明を始める。
「実は、兄さんに誘拐予告があったんです」
アルフォンスが言うには、大エリクシルを狙った輩がエドワードを誘拐すると密告があったらしい。それで匿ってくれそうな海賊団イーストに声をかけた、と。
「やらなきゃいけないことがあるし……」
ぽつりと呟いた言葉はエドワードにしか聞こえなかった。
「迷惑なら出ていきます」
しおらしく頭を下げたアルフォンス。ロイはどうしようかと思うと、後ろからホークアイが声をかけた。
「いいじゃないですか。迷惑なんてないですし」
むしろ癒しが増えて。
最後のは君の意見だろうとロイは思ったが、口にはしなかった。言ったら最後銃弾がとんでくる。
「……いいのか?」
神妙な顔をしてエドワードが聞いてくる。
「まあ彼女がそう言うんだ。かまわない。ただここにいるなら働いてもらうぞ」
「ありがとうございます!」
ロイが答えるとしおらしい態度は何処へやら。アルフォンスは満面の笑みを浮かべて言った。
あれ、嵌められた?とロイが思う間もなく話は進んでいく。
かくして、エドワード、アルフォンス、ハイデリヒの三人が海賊団イーストの正式メンバーとなった。

「そういえば、大エリクシルを奪うのに何故エドワードを狙うんだ? 大エリクシルなら国に入って奪えばいいだろう」
ふと気になったことをロイは三人に聞いてみた。
すると思っても見なかった答えがエドワードから返ってきた。
「だって俺が大エリクシル持ってるから」
「……は?」
「ほら」
そう言うとエドワードは服の下から紅い宝石のついたペンダントを出した。
これにロイは呆気にとられた。探していたものが目の前にあるのだ。アッサリと、何でもないことのように。
「兄さん出しちゃ駄目って言ったでしょ!」
「そうですよエドワードさん! 誰か他の人が見てたらどうするんですか!」
Wアルフォンスから叱られエドワードは頬を膨らませた。
小さく別にいいじゃん、と呟いている。
「だいたい、これ使えんの俺だけなんだし」
大エリクシルだけ奪っても意味ないじゃん。
とエドワード。即刻アルフォンスに頭を叩かれた。
「だからこそでしょうが! いい加減わかれよ馬鹿兄!」
「叩くこたあねえだろ! 縮むし馬鹿でもねえし!」
「どうせ伸びも縮みもしないよ! 何度言ってもわかんない奴は馬鹿に決まってんでしょ!」
「なんだと!?」
兄弟喧嘩が始まり大エリクシルのことを聞くことは出来なくなった。
隣を見ればハイデリヒが申し訳なさそうにロイを見ていた。
ロイはハイデリヒが少しかわいそうだと思った。
兄弟喧嘩はホークアイの愛銃が火を噴くまで続いたのだった。


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