2015/01/01 00:30




「そばを所望するぜコノヤロー!!」
 ドバン、と階下まで響いたであろう音をたてて、ロイの部屋の扉は開かれた。どこと無くデジャヴュを感じつつため息をつく。
「静かに開けなさい。声も大きい。迷惑だろう」
「へいへいすいませんでしたー」
 悪びれた様子もなくエドワードはずかずかと上がり、ソファーに倒れ込んだ。まさに我が物顔。
 ロイも慣れたもので好きにさせている。キッチンに立ちやかんを取り出した。
「インスタントで構わないか?」
「んー。できたら起こして」
「五分もないぞ」
 返事はなく、見ればエドワードは目を閉じていた。ソファーにきっちり収まっていてロイは笑った。
「何をしてたんだか」
 水を入れたやかんをコンロに乗せて火にかける。買っておいたカップ麺の準備をし、手持ち無沙汰になったのでエドワードの寝顔を眺める。あまりに無防備でキスしてやろうかと内心呟く。
 やかんがさせまいとばかりに鳴きはじめたのでロイは立ち上がった。火を止めカップの中に湯を注ぐ。蓋をしてさらに三分。
「エドワード、出来たぞ」
「……うー」
 揺さぶるとエドワードは眉根を寄せて唸る。駄々っ子のようだったので笑いながらロイは啄むようにキスをした。
「ほら、念願のそばだぜ」
「ロイッてめっ!」
「冷めるぞ」
「うがー!」
 噛み付いてくるエドワードを軽くいなしてロイはそばを食べはじめる。頬を染めたエドワードが後から座ってロイに続いた。
「それ天ぷらフニャフニャになんねえ?」
「それがいいんじゃないか」
「えーサクサクのが美味いに決まってんだろ」
「人の好みくらいほっといてくれないか」
 とまあ、年末だろうが何だろうが喧嘩は絶えず、気がつけば年を越していた。
「……年越したな」
「そのようだ。……あけましておめでとう」
「……あけましておめでとう」
 互いにむっつりしながら言うものだからどちらともなく噴き出してしまった。
 馬鹿みたいに笑った後、二人はもう一度あけましておめでとうと交わし合った。






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