2014/01/01 00:04




ほかほかと湯気を立てるお椀が差し出された。
エドワードはそれを受け取り椀の中身を覗いた。
麺に生麩、葱が乗っかって鰹だしの汁。
年越し蕎麦だ。

「何か気になるかい?」

蕎麦を作ったロイが不安そうに問い掛ける。エドワードは椀を見つめたまま首を横に振った。

「いや、これがそばかと」

素直に思った旨を伝えると、ロイがくすくすと笑いだした。エドワードは顔を上げて頬を膨らませる。それを見たロイはすまないと言うが、まだ顔はにやけている。

「笑ってねえで食うぞ」
「はいはい」

二人向かい合って座る。まずロイが頭を下げ、エドワードもそれに倣う。

「今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」

一連のやり取りを終え、二人は手を合わせる。

「いただきます」

蕎麦をすすり始める。半分食べたところでエドワードはある疑問を抱いた。ロイは箸を止めたエドワードに気づく。

「どうした?」
「……何でそば食うの?」
「そうだね、細く長くってところかな。無病息災を願う為――だね」
「ふうん」

謎が解けるとエドワードはまた食べることを再開した。そんな元気な子どもを見ながらロイは微笑む。

「長いお付き合いをよろしく頼むよ、エドワード」

エドワードは口にしていた麺をすすって瞬いた。急にそんなことを言うので面食らったのだ。

「突然なんだよ。……まあ、いいけど」
「何故上からなんだ」
「ほっとけ」

エドワードが蕎麦を食べ終えた頃、近所の寺が鐘を鳴らし始めた。







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -