誰が為に捧ぐ愛情か

「ほら、行きましょうロア」
「…はいはい」
「いざ食堂へ!です!」


誰が為に捧ぐ愛情か
(エステリーゼ=シデス=ヒュラッセイン)


「何で私がお前に付き合わなきゃならないのかねえ」
「お前、じゃありません。私はエステルです」
「そりゃ悪かったな、エステリーゼ姫」
「…リタより強者です」
「何、愛称で呼んで欲しいの?」
「はい!」
「私、そういうの苦手なんだよねえ。如何にも仲良し〜みたいなの、怠くね?」
「そんなことないです!呼ばれると、嬉しくなりますよ?あっ」
「何?」
「ロアも愛称を付ければお互いに呼び合うことが出来ます!」
「そうですね、出来ますけど私はやらねーですよ姫」
「そんな…」
「…いや、そんなに落ち込むことかよ。つーか、お前が何でそんなに私に構ってくんのかは知らねえけど、気に掛けてくれなくていいから、本当」
「ロアは確かに強い人です。体力的にも、精神的にも。でも前に甲板で寂しそうにしているロアを見てから放っておけないんです。だから私、ロアともっと仲良くなりたいんです」
「…ソフィも言ってたけど、どう見れば寂しそうに見えるのかねえ。ただ海を見てるだけだっての」
「ソフィにもそう見えたってことは、やっぱりそうなんですよ。だから今日は先ずは仲良しの第一歩として、一緒に食事をしようかと思ったんです」
「はあ、そうですか」
「ねえロア、手を出してください」
「手?いきなり何だよ」
「こんな感じで手を出してください」
「(あれ、無視…?)…こう?」
「そうです!」
「これ、何すんの」
「いきます、はいっ」
「…何これ」
「ハイタッチです!」
「いや、そういう訳じゃなくて。急になんなのって訳」
「これも仲良しの証です!」
「…ああ、そーなの」
「じゃあ本題ですね。食堂に行きましょう!」
「ちょ、引っ張るんじゃねえよエステル!」
「(名前、呼んでくれました…!)」
「おい無視かテメェ」



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