掴もうぜ、七草粥
ふぉれすとブログが無くなるとのことなので、そこからこそこそ持ってきたもの。今年のお正月辺りに書いてたのかな、たぶん。
「エミリオおめでとう」
「今更何だ。もう元旦にその挨拶は聞いたが」
「七草粥おめでとう」
「一々めでたがる事ではないだろう」
溜息混じりに返すリオンは肩を竦める。それはもうお前は馬鹿じゃないのかと、今にでも言い出しそうな顔だった。しかし、ソラが彼の様子に気が付く訳も無く。
「七草って言うからには七つ草が必要なんだよねえ」
「ああ」
「やっぱりか。そうくると思って、私ソラ=ラナドールがご用意させて頂きました」
自慢げに、摘んできた草花を嬉々とテーブルに並べていく。次々と並べられる緑色のそれに、リオンは唖然とした。
「…蒲公英にクローバー、蓬に…ああ、仏の座だけは奇跡的に当たりだな」
「まじでか。やったね」
本当に奇跡的に引き当てた仏の座の名を聞いて、にこりと笑う。エミリオはなんでも知ってるんだねえと、尊敬の眼差しで。そんな目で見られては、流石のリオンも咳払いでごまかすしか術は無い。
「っ、…嬉しそうな顔をするな馬鹿者。七分の六は外れだ」
「え、後三つも違う草なの?」
「己で察しろ!正体さえ分からない奇妙な雑草を拾ってくるな!それにこの異常な強度を持った草!明らかに芝生だろう!」
「あはは、それ屋敷の庭で毟ったやつなんだよね。やっぱりバレた?」
「当たり前だ馬鹿者!」
流石に芝生は無いだろうと、すっからかんの白髪頭を思い切り叩く。何でこいつはこんなに頭が悪いんだ、先が思いやられる。そう頭を抱えながら、彼女の多分なマイナス面を埋める為には自分がしっかりしなければならないと、決意を胸の奥深くに刻んだ。
その横で、ソラは独自で集めた七草を抱えて立ち上がる。彼女もまた、決意に満ちた容貌だ。
「まあまあ、とりあえず七草粥作ってみようよ」
「芝生を食べろと言うのか…?」
沸々と、リオンが怒りの炎をちらつかせた。彼が閻魔大王へと姿を変えるまで後僅か。目の前に閻魔が現れるなんて夢にも思わないソラは、閃いたと言わんばかりに手を叩く。
「今年から正しい七草に法るのはやめてさ、この改定版七草を世界に推薦しようよ」
「…意味が分からない」
ソラの語る内容の意味等分かりたくもないと、首を横に振る。あくまで否定的な彼を宥めるように、ソラはへらりと笑った。
「まあ、とりあえず七種類の草が入ってれば七草粥だから大丈夫だよねってこと」
「大丈夫な訳っ…無いだろう!」
オールオッケーじゃね?
(七個集めればシェ〇ロンが出るんだよ)
(七草はドラゴ〇ボールではない!)