寮の2階から3階への踊り場


「ぬおお。」
「!」
「ぐふう…。あ、ええと、階段を踏み外した愚かなわたしを間一髪で拾い上げてくださってありがとうございますおっかないお兄さん。」
「感謝してるならおっかないとか言うんじゃねえよ。ほら、立てるか?」
「おおお、よいしょ。ありがとうございます。あの、お兄さんのお名前は?」
「…荒垣真次郎。」
「あらまきさん。」
「荒垣。」
「あららきさん。」
「…名前でいい。」
「しんじさん?」
「…それでいい。」
「しんじさん。」
「ああ?何だ。」
「しんじさん、優しい目をしてますね。」
「…おっかないとか言ってた奴が何言ってんだ。」
「あはは、それもそうですね。でも、すごく優しい目です。いろんなものやいろんなことを見てきて、辛いことも悲しいことも苦しいことも寂しいことも自分の中で押し殺してしまったような、優しすぎる目です。」
「…お前、名前は。」
「? 坂田ソラです。」
「坂田、か。」
「ソラでいいですよ。わたしもしんじさんって呼ぶので。」
「…は、気が向いたらな。」
「はい、待ってますね。」
「…はあ。勝手にしろ。」


「…すっごー、あの荒垣さんとあんな風に喋ってるなんて。」
「そっりゃああんな天使を目の前にしたら荒垣さんだってああなるだろ。しかも地味に名前呼び許可されてて羨ましいことこの上ねええええ!!」

「順平と岳羽。そんなところで何やってるの。」
「あっ、有里くん。あれ見て、あれ!」
「ちょっ、ゆかりっち何を…!(荒垣さんが殺されるっての!湊に!)」
「(相手はあの荒垣さんよ?流石の有里くんも戦わないんじゃない?どんな反応するかあんたも気になるでしょ?)」
「(修羅場に巻き込まれない内に俺は逃げるぞ!)」

「…へえ、荒垣さんは坂田さんが僕のものだって知らないのかな?」
「…し、知らないんじゃないの?(抑ソラは有里くんのものなの?)」
「…み、湊くん?戦う気なのかい…?(死人出るよな、確実に。とばっちり食らうよな、俺が。)」
「…知らないなら教えてあげなきゃ。この寮(戦場)で。」
「「(この男、寮を戦場と呼んでる…!)」」


相手が誰であろうと知ったこっちゃない。彼女を渡す訳にはいかないから、全力で倒す。



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